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我妻由乃の監禁行為を再評価してみる【未来日記雑記】  

我妻由乃の異常性を際立たせた行動のひとつに、中盤での雪輝の監禁があります。
普通にデートに行くはずが、いきなり睡眠薬を盛り、両親の髑髏と一緒に廃ホテルに雪輝を監禁。
下着の雪輝を拘束し、おままごとのように下着で世話をする由乃の姿は鬼気迫るものがありました。

あのシーン、実はかなり好きです。グロテスクな見た目とは裏腹に、とても切ない。
秋瀬或が斃れた今になって比較するとなかなか面白いので、ちょっと記事にしてみます。

どくろの女王_convert_20120329135008



例のごとくネタバレです。
また、下着の女子中学生による監禁行為を賛美してるって時点で生理的に何もかも肯定できそうもない方もUターンした方がいいかもしれません。



結論を先にいうと、あの監禁は
「不利なアウェイでの戦闘を避け、一族郎党を連れて戦いやすい本拠(要塞)に立て篭もった」篭城行為で、
かつ、雪輝が覚醒しない場合の由乃雪輝コンビのほぼ最適解というべき戦略です。
由乃の認識の前提があの時点で他者と大きく乖離しているから異常に見えるだけで、由乃の判断は合理的です。
しかも、由乃の認識も間違ってすらいません。

その認識とは、以前の記事でも書いたように、由乃が戦場の感覚で生きている人間であることです。
ナリこそ普通の町に生きているかわいらしい女子中学生ですが、我妻由乃は「いくさびと」です。
前田慶次とか冴羽リョウとか捨丸とかと同じ類の人間です。
由乃だけが世界の結末を知っている以上、これは当然の認識でもあります。

では、あの監禁は何が目的なのか?
雪輝を困らせるため?違います。
むしろ、雪輝の防衛こそが最優先の目的です。

彼女自身は監禁について「幸せを7月28日まで永遠に保存したかった」「ここなら所有者からも警察からも安全だ」と言っています。

また、高坂王子が高坂キックで乗り込んできたときに、由乃が真っ先にとった行動は雪輝の安全確保でした。
雪輝をかばうように立ち、雪輝に携帯を手渡しています。これはアニメ原作共通して描写があります。
パパとママをかばう、でも、武器を取る、でもなく、まず真っ先に雪輝を守りにいっているわけです。

ここでのポイントは、雪輝が明確な意思表示をしていないこと。
逃げようとはしたものの、監禁が嫌だということを口で一切伝えていないのです(雪輝が嫌がっていることを知ってからは由乃は行動を改善しています)。逃亡も積極的な逃亡でもなかったのでしょう。言われれば由乃は理解するのですから。

「お休みユッキー」のシーンを見ていてわかるように、由乃は雪輝に対し「このゲームを知りすぎていることを知られないようにしつつ」最大限に守ろうとしています。かつ、彼女は基本コミュニケーションがとても下手です。


437783_convert_20120224141812.png


ほっとくとおイタをしちゃう小動物には、私たちもヒモをつけたり檻に入れたりします。
その動物が大事なものを壊さないように。そして、その動物の安全を守るために。
その感覚で「わかってない」ユッキーが変なところにいっちゃわないように拘束していたのではないでしょうか。
雪輝の鎖にはそれなりの余裕がありました。ガッチガチの監禁にしては長すぎます。
つまり、由乃は由乃なりに「弱いユッキー」を最大限に守っていたわけです。

もちろん、問題は由乃が雪輝に「なんでそうしているのか」の説明をしていなかったことです。
これは由乃のコミュニケーション能力の問題です。
見返すと、実は由乃は「いつもの対所有者戦」の感覚で高坂と対して、雪輝に完全に背中を任せています。侵入者に対して「ふたりで」対抗するつもりでいるのです。言い換えると、雪輝が自分を裏切るとは全く思っていない。

つまり、由乃は雪輝が嫌がっているということに本気で気づいていないのです!!!!


気づけよ!ユッキーの何見てるんだよコイツ!!という妥当すぎるツッコミは置いておきます。



雪輝が裏切らない前提だと、由乃の「要塞」は相当に優秀です。
監視カメラがあるので、要塞周辺に限定すれば日記以上の「目」を自動的に確保できます。
一方、携帯は密室に監禁されているので、無差別日記を相手に読まれても支障がありません。また、守るべきものが一箇所に集中しており、他の場所は罠か由乃に有利な戦場でしかありません。
裏打ちする由乃自身の白兵戦能力は傑出しています。また、電気系統と各種の罠もおさえています。

対11thにしても対7thにしても、あれだけ苦戦したのは「相手の巣で戦わされたから」でした。
いっぽう、1対1で由乃を仕留められる人間はマルコしかいません。また、11th戦前に由乃は警察相手に見事に潜伏しきっています。
つまり、最強(最狂)のゲリラが巣の中を闊歩するホラーハウスなのがあのグランドホテルです。


11thの強みは自身が鉄壁の守りを誇る要塞の中にいたことにありました。野戦になったら、11thの手駒では由乃の突撃を止められません。
7thは確かに由乃に勝ちうるのですが、それは馬鹿正直に正面激突すればの話です。
たー君を消された時点で攻城部隊がいなくなり、一気に不利になります。
そして、要塞内であれば由乃はたー君を先に発見し、7thの二人に気づかれないうちに仕留めることが可能です。
9thにしても、彼女の「先に現場に入って仕込む」という勝ちパターンが消されるので一気に不利になります。

このように、地形を味方にした由乃が雪輝の援護を受けた上で本気でゲリラ戦を仕掛けてきた場合、あの要塞はまず落ちません。
落ちたとしても、11th戦を見る限り、落ち延びた由乃雪輝の捕捉はまず無理です。
また、由乃は事前に準備して大量にサプリメントを持ち込んでいます。兵糧攻めも効きません。

雪輝さえ裏切らなければ、あの場所は「誰が攻めてきても先に敵を発見できて、先手を取れて相手を一人ずつ有利な条件でボコれる」という理想の条件を満たしていました。由乃は雪輝が裏切るなんて夢想だにしていないから、彼女の想定する中での最善手です。
雪輝と二人で守った場合、この要塞で最後まで勝ち抜くことは雪輝を覚醒させなくても十分に可能だったと私は思います。

なお、1周目では対4th戦が遅く別の形だったはずです(私も感想スレで最近気づきました)。
この監禁は、直前の2周目4th戦の「対・多数の特殊部隊」との戦闘経験も踏まえたうえでの結論だともいえます。


問題は、城主が守備隊を差し置いて城門を勝手に開けてしまったこと。由乃の最大の敵はいつも雪輝です。
一週間も監禁してて、お前らナンも会話してなかったのね。。。としか言いようがないのですが。。。


では、どういう会話をすればよかったの?
というのが、後半のテーマ「なぜ、あのシーンが切ないのか」に関連してきます。

切ない理由は、由乃が「パパとママを連れてきている」からです。


えすの作品に共通して、「失われた円満な家族を取り戻す」はとても大きなテーマです。由乃にしても例外ではありません。両親と幸せに暮らす光景をずっと渇望していて、だからこそ同じ夢を持つ雪輝に深く共感しています。

劇中で、両親が死体になっても、由乃が両親に縋っていたことが示されています。
死体を埋めなかったのは、埋められなかったから、ではないでしょうか。
由乃は心の救済を求めていて、求める先にもう返事をしてくれないけどパパとママがいて、雪輝がいる。
だから、両親を埋める(見えない場所に消してしまう)という行為が「記憶を消さなければいけないくらい」のストレスになっています。


そうすると、監禁旅行に由乃が髑髏を二つ持っていったことの本質が見えてきます。
家を出た時点で由乃は全部準備してきていました。彼女の台詞から鑑みると、家にはもう戻らないつもりだったのでしょう。雪輝にとってはちょっとしたデートだけど、由乃にとっては世界の終わりまでの駆け落ちです。
家にはもう戻れないから、どうしても譲れない大事なものを持っていった。それがパパとママの何かが宿った髑髏です。
(死体は所詮死体だと言うことも由乃は多分わかっているのですが、でもどこかで、パパとママによる救いを求めているようにも見えます。)

旅行に「家族」としてペットやぬいぐるみや人形を持っていく人がいますが、アレに近い感覚だと、私は思っています。
髑髏はおどろおどろしいけど、本質はそういうこと。

由乃が渇望してたけどできなかった「家族と好きな人と4人での旅行」は、こういう歪んだ形で実行されている。


すると、あの監禁の狂気の象徴的な以下のシーン

どくろの女王_convert_20120329135008

も、全く違って見えてきます。




じつは、この光景と本質が殆んど同じなのです。




ゆのが渇望したもの_convert_20120329124825


由乃両親の像がまだマトモに映像化されていないので、雪輝両親で代用しています。
本当は由乃両親+由乃雪輝の構図になります。


雪輝に好きと言ってもらってうれしかったから、由乃なりにベストを尽くして、当時のヘタレ雪輝と強い由乃の二人にとって「一番勝ちやすい場所」を選んで引きこもった。終の棲家だから由乃の「好きなもの」で埋め尽くした。
※由乃は「きれいな部屋」とか「飾り付け方」を両親から教わっていない可能性が高いです。

あの形が由乃にとっての「"永遠"にしたい完成された世界」だともいえます。
由乃の前提とサバイバルゲームに規定された世界が歪みまくっていただけで。



さて、この監禁が「由乃が守る雪輝」体制の完成形であることを見てきました。
同時に、これが「ひとりでユッキーを守る由乃」という関係の限界にもなります。

監禁から雪輝が「救出」されたのち、由乃は7thとの野戦に敗れ、由乃雪輝の二人は携帯をとられて仲良く入院という大惨敗を喫します。

両親の死亡という偶発事故もあり、この後は雪輝が由乃の庇護から出て積極的に戦いに参加していくようになります。

その意味で、この要塞戦は由乃主導体制の終焉とも言える事件で、パラダイム転換の端緒になったともいえます。



ところで、監禁されたとき雪輝はどうすればよかったのでしょうか?
「なんでこんなことをするの?」「その骨は何?」あたりを素直に聞いていれば良かったのではないでしょうか。
その場合HAPPY ENDが大幅前倒しされ、別の意味で防御力が低下しているかもですが・・・



・・・着替えもっといっぱいもってこいよ、何で下着なんだよという突っ込みは置いておきます。
私も知りません。作者が考えていなかったから、としか言いようがない気がします。




最後に。
どこがどう秋瀬戦との比較なのか?

この鬼怒川要塞戦と秋瀬戦、参加メンバーの顔ぶれが同じです。
違いは8thがいるかどうかと、雪輝が覚醒しているかどうか。
雪輝友人も由乃も基本スタンスが変わっていない。

ちょっとの要素が変わっただけなのに全然見え方が違うよね、という好例です。
どちらの場面でも由乃の狂気が際立っていますが。










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コメント

いつも考察楽しみにしています。
13、14話は「ヒロインが主人公を監禁した」という部分に注目しがちですが、「自分が殺した両親の頭蓋骨を彼氏に紹介するために切り取って持ち歩く」というのも、よく考えたら凄まじいですね。アニメ版の桂言葉並の狂気を感じます。

>>つまり、由乃は雪輝が嫌がっているということに本気で気づいていないのです!!!!
そう考えると、雪輝が由乃にビンタした後の、由乃の「どうして?」も、「どうして鎖を外せたの?」ではなく、「どうして怒ってるの?」という意味になりそうですね。

>>・・・着替えもっといっぱいもってこいよ、何で下着なんだよ
あえて理由をつけるなら、6月末で暑かったからとか、洗濯用に水を無駄遣いしたくなかったからとかですかね?脇に頭蓋骨を置き、下着姿で微笑む姿のインパクトが強すぎて深く考えてなかったですがw

#- | URL
2012/04/09 22:26 | edit

コメントありがとうございます!
作者もノリノリで描いている部分が多く、厳密な説明が可能な部分と、どう考えても無理な部分があります^^;

「自分が殺した両親の頭蓋骨を彼氏に紹介するために切り取って持ち歩く」
ここはコミュニケーションの問題でもあると思います。私たちからすると狂ってるのですが、由乃は「パパとママを”起こした”なぁ!」という言い方をしています。

考えてみれば由乃は死や別れについての教育もまともに受けていないはずなので、あれはあれでアリかなと思います。南米の先住民で死者の肉を食べるとか髑髏を飾る風習はありましたし。


なまじ知性と適応力が高くて現代日本人の服装をしているから同じ常識を持っていると思いがちですが、由乃の中身を保護された野生児だと思えばなんとなく納得できる・・・かも。

返信遅くなり失礼いたしました。
アニメ版は今日で終わり?ですが、今後ともよろしくお願い申し上げます。

さわK #- | URL
2012/04/16 05:39 | edit

ゆのはこんなにも、必死にユッキーを守って来たんですね。愛してるよ、ゆの~~!!

考察面白すぎます!!!また書いてください~~お願いします~

Lee #- | URL
2012/11/21 12:38 | edit

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