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『アカメ』を踏まえての『ゆゆゆ』感想 なぜ、彼らは笑って戦えるのか?【21時15分追記】  

『ゆゆゆ』を初見したときから、同じタカヒロさんが原作をしている『アカメが斬る』のことを何度となく思い出していました。
主人公の友奈の「勇者らしさ」が、『アカメ』の主人公・タツミを彷彿とさせたためです。


『鷲尾須美は勇者である』『アカメが斬る』は全て、タカヒロ4プロジェクトという企画の一環なのだそうです。
一昨日友人と話していても、相当うまく連動企画しかけてきてるなーと感じました。
特典ゲーム、『鷲尾』の発売日、『アカメ』の発売日、と、最終回に向けて『ゆゆゆ』ワールドの盛り上げ方が突き抜けてきています。

ならば見返すか、と行くには、アカメは最新の巻を含めると11冊。アニメに至っては24話。
やってらんねーよ。

・・・だったのですが
アニメのオリジナル話(19~最終24話)と漫画の全巻、一気見してしまいました。
『ゆゆゆ』に繋がるタカヒロ哲学のようなものを感じたためです。
いよいよ迫る『ゆゆゆ』最終回に向け、ご参考までに。


『アカメが斬る』の最新話までのネタバレがあります。

※17:30〜21:15の間更新のバージョンがおかしくなっていたので、再度加筆しました。



『アカメが斬る』は、アニメを見て面白いなーって思って、原作を10巻まで読んでいます。
アニメは10話くらい(タツミとエスデスが出会うあたり)まで見ていました。
必殺仕事人をモチーフにしたアニメで、田舎から一旗揚げるために大都会の帝都に出てきたタツミという少年が、自分たちの住む帝国の理不尽さに気付き、帝国打倒をもくろむテロ組織の一員になって戦っていく話です。

『アカメ』は暗殺者たちの話なので、敵も味方もモブも容赦なく死にまくります。
先の友人の曰く、「死にまくりのアカメ、死ねないゆゆゆ」とか、言われてるそうです。
この『アカメ』は『ゆゆゆ』のタカヒロさんが今年仕掛けた企画の一環で、原作はガンガンJOKERで最終章を連載中、アニメ版はつい先日24話で完結しています(19話以降がアニメオリジナル)。

「原作読んでるから見なくても良いか」だったのですが

見てしまったんです。魔が差して。最終回どうなるかなー?って。

物語は主人公たちが悪の帝国を倒し、新しい時代が来たよ、というところで終わります。
勝ってはいるのですが、主人公側にも多大な犠牲が出ています。
主人公のタツミですら死亡し、主人公側で生き残るのはエースのアカメ(キービジュアルに出てくる黒髪ロングで日本刀持ってる女の子です)と、組織のリーダーであるナジェンダの2人だけです。
2人とも家族や家族同然の多くの仲間を失い、身体にも消えない傷や後遺症が残っています。
彼らがお互いに別れを告げ、新しい世界に身を投じて行くところで物語は終わる。

別れるときのセリフが、衝撃的でした。


「楽しかったな。」


なじぇんだとあかめ


リーダーのナジェンダ(白い髪で眼帯の人です)は普段あまり感情を出さない人で、むしろ感情を徹底的に押し殺して振る舞うクールな人でした。
だから、「戦えてよかった」の返事が「勝ったことに意義がある」とか「犠牲にも意味がある」でも、よかった。
でも、彼女は「楽しかった」と言い切る。
ご覧の通り、表情に一点の曇りもありません。彼女も本心から、楽しかったと思っている。
このセリフでハッとなって、アニメオリジナルの話と原作を10巻まで全部見返しました(最終回自体を飛ばし飛ばしで見てました)。

見返して、ああなるほど、がいくつかありました。
結論からいきます。

根底にある「人間の幸せは何か?」という哲学が、『ゆゆゆ』と『アカメ』はとても近いのです。

一方、「死にまくり」と「死ねない」で対比されるように、『ゆゆゆ』と『アカメ』では大きく違う点もあります。
これは、以前に書いたまどマギとの対比にも絡んできます。

違うポイントは、『ゆゆゆ』9話で友奈が風先輩に言ったセリフに全てが集約されています。
「それでも、私たちは勇者になっていたはずです!誰も悪くない!選択肢なんてなかった!」

まず共通点。
『アカメ』の世界は、そこに生きる大多数の人にとって、『ゆゆゆ』世界と同じくらいに理不尽です。

でも、『アカメ』では勇者になる選択をしない人たちが出てきます。
また、明らかに悪い人もいます。この人達は「大多数じゃない側の」人たちです。
一部の悪い人たちが不条理を作り出していて、その不条理に大多数が苦しんでいるという構図です。
ただし、悪党側に行くことも含めて、『アカメ』世界の人たちには選択肢がそれなりにあります。
勇者部に当たる主人公たちは、この悪党と戦っているグループです。

つまり、勇者部以外のもっとラクな道があるゆゆゆ世界が、アカメです。
敵側にも哲学があり、魅力的な人物が多数登場します。

特に、宿敵エスデス麾下の「イエーガーズ」は主人公たちのライバルというべき存在で、多くの因縁が絡みます。
出てくるキャラクターはいずれも感情豊かに描かれ、無邪気な笑顔で屈託なく笑い、仲間の死に涙し、仲間の言葉なき言葉を汲み、強いきずなで結ばれています。主人公側キャラクター以上の人格者すら存在します。
だから、敵キャラにもファンが多いらしく、死も惜しまれています。

「何でこんなイイヤツが敵なのだろう?」「どうして戦う羽目になったのだろう?」
「主人公たちが敵側にいても、この上司の下なら何とかなったんじゃないか?」
「てか主人公のタツミだけモテすぎだろ!!!!」
そういうやるせなさがあります。

ダークファンタジーだから。鬱アニメだから。
うん、もちろんそうなのですが。

読み返したりアニメ見たら、結構はっきり差異が描かれていました。
クラブ活動みたいに、自分たちのいる集団に強い帰属意識を持つ点では、『アカメ』の主人公側も、敵も、『ゆゆゆ』の勇者部に近いです。ただし、『アカメ』の敵側には一部特殊な人たちがいます(後述します)。

明確な違いは、弱者に対する強者の暴力への対応にあります。
かたっ苦しいですね。「弱い者いじめを見て見ぬふりをするか?それとも止めるか?」の違いです。

敵側にもイイヤツは何人もいます。ちゃんとした大人も人格者もいます。
でも、彼らは弱い者が虐げられ、理不尽に殺されていくのを「仕方ない」と割り切れてしまう人たちです。
勿論、そうせざるを得ない背景がそれぞれにあります。大人だったら共感できる理由が多いです。
主人公側は、目の前で虐げられている弱い者をほっておけず、つい飛び出してしまう人たちです。
この主人公側の特性は、『ゆゆゆ』の勇者部にも共通します。よーはガキです笑 
実際、『アカメ』の主人公側は若者ばかり(10代後半)だし、勇者部はまだ子供(中学生)です。

つまり、『アカメ』では、
社会の不条理に我慢できる大人と、実際に行動して文句を言えてしまう若者の対立の構図
があります。
※なお、タツミがモテるのは最も若者らしさが出ているからです。
 真っ先に弱い者を守りに行ける素直さを持ち、その気概を貫けるガッツがあるのがタツミです。

『ゆゆゆ』の場合は、大人サイドの存在感が徹底して消され、物語は子どもたちだけに焦点が当てられています。


存在感。
『ゆゆゆ』では、顔のある大人はほとんど出てきません。ここが『アカメ』との大きな違いです。
『アカメ』では、社会の不条理を作りだしているのは人間です。顔と名前と意志(欲)を持っています。
敵でもあからさまに悪そうなヤツと純粋に壊れているヤツがいて、後者は可愛らしい笑顔を普通に見せます。
特に後者は「仲間の絆」とか「仲間を思う気持ち」みたいのも多く描写されるので、厄介です。

ニャウ
セリュー
クロメ



ただし、主人公側と明確な違いがあります。
違いは、「他者が対等かどうか」。
つまり、相手が自分の思い通りにならないことを認められるかどうか。

敵側でイイヤツっぽく描かれるけど我慢をしていない人たち(=屈託なく笑える人達)に共通する特徴です。
気に入ったから支配する、気に入ったから自分の色に染めようとする、気に入ったから死んでも死体として一緒にいる。
そういう歪みが、彼らに共通します。

『アカメ』の敵味方の仲良しグループは一見よく似ているのですが、実態は似て非なるものになります。
この結果、仲良しであることの質が変わってきます。
その質の差は双方の哲学の差になり、劇中では紙一重の強さの差と、二つの言葉で表現されます。

一つ目が、先述の「楽しかった」です。
アニメのオリジナル展開で、私が覚えている限り3回、今生の別のときにこの言葉が出てきます。
ひとつめが人造人間のスサノオ。原作とほぼ同様の流れ・セリフで散るキャラですが、原作のセリフに「こんなに楽しかったことはなかった」という一文が加わります。

もうふたつが最終回。一つが冒頭に書いたアカメとナジェンダです。
もう一回が、その前、アカメとエスデスの対決の際、エスデスがアカメの時間を止め、勝利を確信した際に「楽しかったぞ」という言葉をかけます。
ただし、エスデスの「楽しかったぞ」はアカメの耳には届いていません。また、「狩るのが楽しかったぞ」という獲物への賛辞です。エスデス自身のためだけの、アカメという他者を犠牲にした「楽しかったぞ」です。
このセリフを発した直後、アカメの逆襲でエスデスは致命傷を負います。

つまり、最終回での二つの「楽しかった」は対比になっています。


もう一つの言葉が「思いを背負う」です。
テロリストなので、主人公側も大勢人を殺しています。
でも、彼らは悪党ではない。ああうん殺人鬼なんですけどね。

敵と主人公、何が違うのか?
ひとつが不条理に立ち向かう正義感で、もう一つが他者の思いを認めることです。
ああうん、認めてても「お前は生かしてはおけない」とか言って勝手に生死決めて暴力振るってるんでアレですけど笑


人間はそれぞれ生きたいと願っていて、それぞれに思いがある。その思いはとても価値がある。
だから、弱いからという理由で強い者が他者を踏みにじるのは悪いことだ。


これが、『アカメ』に通底する人間観です。
同時に、この人間観が「楽しかった」の根拠にもなります。
仲良しグループの中で、主人公たちは相手の思いを背負い、相手の思いを大事にしながら、ときにぶつかり、助け合い、絆を深めていったから。(劇中の言葉で言うと、思いを背負っているから)

だから、大事な者と死に別れたり、五体の満足がなくなっても「楽しかった」と言い切れる。
生き残った者が死者の思いを背負い、生きていくのがアカメと仲間たちです。
この傾向、『アカメ』のアニメオリジナル話でのキャラの死に際を見ていくと、顕著に出ています。
(10巻までの原作だとまだ死んでいない人たちばかりです。スサノオのみ、アニメでセリフが追加されています。)
会うべき者と出会って精一杯心を交わせたから、彼らは楽しいことを回顧し、感謝を述べて死んでいきます。

一方、敵側の人たちの場合、他人とのふれあい方がおかしいことが致命傷になって死んでいきます(クロメ、エスデス)。
どちらも、その問題点に本人が気づいたり、他人に指摘されたりして、劇中で示されます。

この「思い」の扱いは22話のクロメとの対決に顕著に出ています。時間がある方は見てみると面白いです。
アカメに対して因縁のある妹クロメが最後の一騎打ちを挑む。
その対決の終盤に双方のパートナーが駆けつけるのですが、行動が対照的になります。
クロメのパートナーのウェイブはクロメに加勢しようとして、クロメ自身に拒絶されます。
一方、アカメのパートナーのタツミがしたのは、アカメ達に二人だけで気持ちの決着を付けさせることでした。

納得のいかないウェイブは「それ(=どちらかが死ぬかもしれないのに見殺しにすること)が、お前がテロリストになって得たことか!?」と、タツミに問います。視聴者に投げた問いでもある。
アカメとクロメの対決は、タツミの選択を肯定する形で推移します。


まどマギとの絡みで言うと、「ひとりぼっちの私(You are not alone)」の孤独問題に対し、主人公チームも敵チーム(イエーガーズ)も「居場所」としての機能は果たしています。

ただ、その居場所に対してのアプローチが異なります。
「自分は強い。意のままにさせてくれる居心地のいい他人を見つけよう」なのが敵側で、
「こんな自分でも何かができるはずだ。役に立てる居場所を見つけ、その仲間のために頑張ろう」なのが主人公側です。
敵側にはそうじゃない人たちもいますが、彼らがどこかで我慢している関係でもあります。
勿論、よほどのことがないと綻びが見えない程度には敵側もうまくいっています。
ただ、「思い」がどうなっているか、の関係で見ると、かなり明確な違いがあります。



なお、『ゆゆゆ』では登場人物たちは「こんな自分」とは思っていません。
『アカメ』の主人公側は、反体制側のアウトローとして社会の闇に潜んでいます。
後ろめたいことをやっている自覚があり、汚れ仕事をして人知れず消えようと最初から覚悟を決めています。

自分たちのやっていることが人に褒められることかどうかは、『ゆゆゆ』と『アカメ』の大きな違いです。
その違いも友奈が否定してしまいましたが笑
「大勢の困っている人の役に立つけど、誰かを殺さなければいけない」ってなったら、友奈はどうするのでしょうね。
友奈の方ではそういうエグイ問いまでにはならないと思いますが。
どっちも救う!それが勇者だ!とか言って、実際に救っちゃうのかな?


以上、アカメを読み返し、見返して気づいたことで、私にとって『ゆゆゆ』理解に繋がったことを書いてきました。
『ゆゆゆ』の最終回次第では、ノイズになるかもしれません。
同じ作者がタイミング測ってぶつけてきてるから、意図は感じるけど。

『アカメ』自体が軽妙に見せて相当深く描いているので(このノリも『ゆゆゆ』に共通します。)、時間が取れる方は読み返してみると面白いかも。半日でギリギリ追いつけます。

ああうん、イブとかにやることじゃないですよ。
アニメ見る手間で異性にアプローチした方が多分幸せを得られます。


要点をまとめると
ゆゆゆとアカメは人生観が共通する、です。
人生観、すなわち、
人間が生きようと生きて思いを交わしていくのはとても価値があることだ。心を支える一生の宝になる。
です。


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【過去記事】
最初に『アカメが斬る』をガッツリ読んだときのTogetter感想
『まどマギ』を踏まえての『ゆゆゆ』感想 (1)なぜ、彼らはコネクトしないのか?
『まどマギ』を踏まえての『ゆゆゆ』感想 (2)まどマギとゆゆゆと、そしてビビオペと。
まどマギ』を踏まえての『ゆゆゆ』感想 (3)They are not alone, are they?



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結城友奈は勇者である
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アカメが斬る
21話(マイン散華回) 22話(クロメ決着回) 23話(皇帝決戦回) 24話(最終回) アカメが斬る1-10巻セット










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