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アルドノア・ゼロ感想 第9話 第10話(2) 二つの凶行、ふたつの「友達」  

ヤバいですねこの作品。割いてる時間ないのに。
でもしょうがない。良いものは良いし、作り込まれているものは作り込まれている。

見返したら9話も見返す羽目になりました。
通してみると、確かに見えてくるものがある。

見返して印象が変わったのは2人。ライエとザーツバルム。

てことでアルドノアゼロ(アルゼロ、Aldnoah zero) 第10話感想第二弾行きます

9月7日14時25分 ちょっと追記(緑色部分




まずライエ。これはセリフそのまま引用します。

今回のセリフから。


私はもう、火星人には戻れない。
でも、地球人でもない。
なのに、あなたは火星人だって明かした。
火星人なのに受け入れられて、火星人なのに居場所ができて!
火星人なのに!仲間だと思ってたのに。
全部あなたのせい。

あなたが来たからお父様が死んだ。
あなたが来たから戦争が始まった。
あなたが来たから裏切られた。
あなたが来たから一人になった。
あなたが来たから
あなたが来たから
あなたが来たから
なのに…なのに、どうしてあなたは!



どうして、の続きが気になりました。この答えがあるのが9話。



どうして?どうして正体を明かしたの?
火星人は敵だと思われてるのに。
どうして平気でいられるの。
火星人に裏切られたのに。
変よあなた。
…仲間だと思ってたのに…

(食堂にて)


変…変…変…変よ。こんなの。
どうして、正体を明かしたの
どうして、平気でいられるの
どうして、どうして、どうして!
どうして!あの人は…!
どうして!私は…!



つまり、ライエ的には

敵味方の旗幟が鮮明になる
=居場所がなくなる=ひとりぼっちになるor危害を加えられる=心か身体が死ぬ

です。
正体がばれるとか裏切られることは自分の所属が明らかになることなので、ライエは恐れる。

姫様がそう思ってない人で、どういうアプローチをするかは何度か描かれています。
キーワードが「友達」。友達になれば、所属の違いの壁がなくなる。
でも、味方を殺してしまう人間たちによって、この物語は紡がれていく。
すれ違いがテーマであるのと同じくらい、そのすれ違いをどう越えていくかが重要になってきます。


なお、「どうして…あの人は!」「どうして…私は!」で、ライエにできなくて姫様にできたのはニロケラス越え。

ライエができなくて姫様にはできた理由は、三つあります。
ひとつが生まれの問題。もう一つが動員できる武力の問題。うん、残酷な現実ですね。
三つめは勇気。これだけがライエでもどうにかできる。殺されることを恐れず前進できるのが姫様。

10話でライエにも一人ぼっちではなくなる目が出てきました。さて、ここからどうなるか。
また、このやりとり、あとでスレイン対伊奈帆に被る可能性があります。


生まれとスレインとくると、ザーツバルムが出てきます。
10話を踏まえると、ザーツバルムのこのシーン、違って見えてきます。

ザーツとスレイン


いや事後とか言われていたけど。


ザーツバルムの婚約者オルレイン、もし生きていて子が生まれていたらスレインと同じくらいの年です。
そのスレインは恩人の子、しかもザーツバルムが舌を巻くくらい「やり遂げる」心を持っている。
ザーツバルムのスレインへの態度、父親が子に向けるものとして見てもしっくりきました。

ではザーツバルム、なんで戦いを仕掛けるのか?
コレ、彼の背景を踏まえた上で9話見直すとしっくりきました。

お前ら王族が勝手に仕掛けた戦争の目的を信じて嫁は死んでるんだ!
しかもこちとら仕事ちゃんとやってるのに!お前らのミスだろ?なかったことにして今更手打ちだ?
ふっざけんな!お前らのせいで領民はまだ飢えてるんだ!
せめて、嫁の分の一矢は報いる!!!


こんなところかなと思います。

ならば、仕掛ければそれで終わりなのか?
コレ、多分続きがあると思います。キーキャラはトロイヤード博士。
ザーツバルム、戦争の終らせ方(領民が飢えないでどうにかなる方法)を知っているのではないでしょうか。
なんであの形で戦争を仕掛けたのか。なんで火星でクーデターを起こさなかったのか。 
オルレインの無念とは何か。

ザーツバルムがただ復讐だけで突っ走るほど知恵と理性が足りない人には、どうにも見えないのです。
むしろクソ真面目に苦悩している。その方がタチが悪いんだけど。


もう一つが、メタ的な理由。
デューカリオンと並びうる重さを持つ名前はディオスカリア。
タルシスだと貫目が足りない。(聖書での世界の西の果ての土地の名前から由来してるので無問題。)
それに、姫様をいただくイナホに対してスレインが何を掲げるのか?という問題がある。
天が堕ちてでも執行させたい正義、というのも、復讐では弱い。

だから、もしかしたら「スレインなら継承できる、この対立状況のもう一つの解決策」をザーツバルムが持っているのではないか?と思うのです。
これは物語のOPにもつながりうる。

KalafinaのHeavenly Blue、大好きで聴き狂ってるしこの歌のためにここまではまったようなものなのですが、

この歌詞、ザーツブルムにも当てはまるんです。歌詞を読んでいくと分かります。
スレインじゃなくてザーツブルム、ではないと思う。「ふたり(以上)に当てはまる」のがミソ。

また、このOPにはかなり象徴的に映像が使われていて、イナホは足が強調されるのに、スレインは足が全く映りません。
スレインは天からおりてくるものとして、イナホは自分の足で立って上に登っていくものとして描かれる。

OPについてのメモ(いずれ記事にします)

地球側のカタフラクトは馬の名前を関しているわけで、鳥(翼)と紐づけられるスレインとは対比になっているわけですが、
もう一つ、天には「先天」の意味もあるのかもしれない。
つまり、トロイヤード博士にしてもザーツバルムにしても、スレインに何かを残し、託した人です。
スレインが駆るであろうタルシスも、クルーテオ以上の騎士のスレインに、ということで紹介されているようにも見えます。
当のクルーテオも自分以上の忠義の者としてスレインを認めていました。

つまり、スレインは前の世代の残したものに運命を規定されていく人。与えられた翼で戦う人です。

一方、イナホは(全く必要がないのに)わざわざ戦士になって、わざわざオレンジの練習機で戦場に出ます。
彼には仲間と先輩がいるけど、親の世代として関わってくる者はいない。
まさに自分の足(自分の力)で戦っていく人です。
イナホは地に足がついているんだけど、スレインも受け継いでいるものが出てくるだろうから、双方に優劣はない。

この対比、もしかしたら出てくるのかな、と思います。
姫の唱える友達ごっこに対して、スレインがザーツバルムから解決策を託されて勝利が至上命題になれば、両者は対決せざるを得ません。姫様流でも「安全な交渉のためにとりあえず相手を制圧する」は否定されていません。

ザーツバルムのスレインへの接し方には、そうなってもおかしくない程度の思い入れは感じました。

また、今回で姫が「犯人は軌道騎士」と明言してしまいました。
一方のスレインは軌道騎士たちの間での信望を高めつつあります。
アルドノア・ゼロのキャッチコピーは、「空から火星の騎士たちが降ってくる」
スレイン・トロイヤード「降ってくる騎士」の集大成というべき存在になりつつあります。

ここで面白いのが揚陸城のデザイン。
遠くから見れば天使のようにも見えるし、地上に降りれば花のようにも見える。
天空属性も大地属性も持っているのが、揚陸城。




では、「友達」はどういう状況で成立するのか?
10話では二つの友達が出てきます。

なんでスレインがNGでライエがOKだったのか。見返すと、理由が二つあります。
一つは、ライエが伊奈帆の質問にちゃんと答えていること。スレインは質問に答えていませんでした。
もう一つが共闘の長さと質だと思います。スレインは確かに優秀なんだけど、所詮1回きりです。
ライエは毎度の戦いの時、イナホがやってほしいことを的確にやっている。トラックで囮役になるし、ボートで真っ先に助けに来るし、撃ち漏らした敵には的確にはとどめを刺す。
なにより、ボロが出かけたとき(イナホにはそう見えていたはずです)にスレインはイナホに銃を向け、発砲しました。

こうした経緯があるから、伊奈帆はライエを信じる。
ライエを即制圧することができたのに、姫様が殺されかねないのに、3発、ライエが撃つのに任せています。

コレ、凄い事だと思う。
弾数がなんで3発なのか引っかかってたんですけど、書いてて気づいた。
自分用の1発を含めて4発。あの場所にいた人間は4人(艦長、侍女、イナホ、姫様)。
ライエ、その気になれば全員を殺せたんです。
で、イナホは恐らくライエの腕を知っています。

ライエのこれまでの行動が信じるに足るものだったから、今回もイナホはライエを信じる。
正体がばれたら一人ぼっちになってしまう、という懸念は、イナホの前では杞憂だったようです。
9話と10話の「好きにすれば」は、聞き比べると面白いと思う。


もうひとつの「ともだち」は、姫様と伊奈帆。
見返すと、姫様は「これからも友達でいてください」と言っていました。
つまり、姫様にとってイナホはもう友達。恐らく、現時点ではただ一人の地球側の友達。
どうして友達になったか、何が条件なのか、も、デューカリオン起動時と合わせて考えると面白い。

なお、この時のシーンはことさら、「黄金の稲穂」を想起させるような描かれ方をしています。
かつて姫がスレインの前から去ったときには、姫は青い地球を見下ろしていました。
今回は大地の底から世界を見上げる。ここも、対比。


伊奈帆と姫、姫とデューカリオンの地球人。
共通するのは、自分が傷ついても相手を助けようという意思と、それを裏付ける行動です。

ライエが踏み出せず、どうして?と悶絶していたのがこの部分。
ザーツバルムが王族や地球人にブチ切れていたのもこの部分。


だから、鞠戸大尉が言う。
「安全なモンか。ここも戦場だ。」
味方に撃たれる奴の気持ちがどうにかならない限り。
友人殺しの決着がつかない限り、戦場は消えない。

関連して、銃という小道具も面白い使われ方をしています。
どんな場面で銃口が誰の方を向いて、実際の銃弾がどういうことをしたのかを振り返っていくと面白いと思います。

15年前、撃つべきでない相手に銃を撃ってしまった鞠戸大尉。
15年前、撃つべき相手に銃を撃たせてもらえなかったザーツバルム。この二人の対比も面白いです。
お互いに死者に引きずられている。どちらも、パートナーはもう助からない状態。
でも、そのパートナーたちが言ったことが明暗を分ける。
ひとりは自分を撃って自分を楽にしてくれと言う。もう一人はあなたは逃げてという。
双方の苦しみが、この先に何をもたらすのか。そして、どう乗り越えるのか。



こうやって見てくると、誰もが友達になれる可能性も、誰もが友達を殺してしまう可能性も示されているように思います。
ああうん、殺さないで済みそうなのが姫様かなあ。伊奈帆は必要な時には相手を殺せる人間だし。
姫様にしても、自分の理想を真っ向否定したうえで殺しに来た相手とは対峙したことがない。
そういう状況が描かれて初めて物語のゴールが明かされるように思います。
スレインがその一線越えそうなんですよねぇ。。。本人気付いてないままに。

ただまあ、「すれちがい」と「ともだち」の枠組みで虚淵さん戦争描き切りそうだな、とは思いました。
ホントは人間なんてもっと生々しくて不真面目で卑しいものだと思うけどね。コレ娯楽だから別に良いです。
ああうん、これで「アルドノアゼロは僕らに戦争を教えてくれた!」とか言い出す人がいたら最大限に警戒しますけど笑


以上、9話10話見返して思ったことを書いてきました。
過去記事でも名称の由来とかスレイン対伊奈帆が対決に至った理由などを書いているので、良かったら読んでみてください。「なんで?」がわかると、この作品は更に更に楽しくなります。

公式サイト
アルドノアゼロ世界における通信の意味


過去感想まとめ(私が火星軍を最初から心配している過程が克明に記録されています)
10話感想まとめ
OPについてのメモ(いずれ記事にします)
その後の相楽さんとのお話 (今まで出てきたメタファーの大体の意味が解説されています)
名称の由来
7話までのおさらい
スレイン対伊奈帆のやりとりについて









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