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ガンダムAGE感想 救世主の資格とは?  

あんまウラとってない感想です。考察でも解説でもない。
ふとジラードの回を見返したくなって、(フリットが「レイナという女はもういない」といったときのキオとジラードの表情の変化が大好きなんです)、前回のゼラの記事を踏まえて、記憶をずばばばばばって思い返して秋田空港で閃いた。

いや、ジラードのエピソードがなんで挿入されたのか、あんまりわかってなかったんです。


結論を先に書きます。
ジラードは、フリットが救えなかった「繰り返された過ち」なのではないか?

私が覚えているジラード認識は以下の通り。
1:フリットとよく似た経歴を持っていた人間である。
2:フリットにおけるユリンとよく似た形で恋人を失っている。
3:ガンダムAGE-1に乗るかもしれなかった人間である
4:対艦・対大軍・対Xラウンダーいずれもこなせる万能キャラである。


問題は1と2をフリットが知ったうえで、レイナの存在をフリットが全否定し、「ヴェイガン」として殺したこと。
フリットがいみじくも「過去に何があろうと、今はヴェイガンだ」と言っています。
また、「戦いをやめろ」と叫び続けるキオに彼女が死の直前に望んだことは、「あの人を返して!」でした。
ジラードの魂を救ったのは、ゼハートのXラウンダー能力です。
ゼハート言ったことが恐らく、ジラードが言ってほしかった言葉ではある。

最終回を踏まえると、思う。

あれ?ラストでキオがフリットに使った能力を使えば、このヒト救えてね?

これはAGEのテーマのひとつ、「Xラウンダー、是か非か」という問題にもつながる。
私は「Xラウンダーも人間の得たオプションのひとつ、毒にも薬にもなる」と解釈しています。
キオがラストでゼラ、フリット、イゼルカントを救ってみせたから。
49話の中で3回、肯定的に使って全員を救って破局を回避しています。

でも、ルナベース戦でのキオはまだ、その境地に達していなません。
いや、達していたのかもしれないけど。彼が相手を説得するにはもう二つの条件が必要でした。
ひとつは、FXバーストモードに裏打ちされた圧倒的な武力です。
最終決戦時のキオは(キオが命を張れば)どんな相手でも制圧できる武力を持っています。
でも、この時点ではレイナとキオの力は拮抗していました。だからキオは「あと一歩」を踏み込めない。


もう一つは、キオにレイナと話すオプションが与えられていないこと。
直接レイナに触れてXラウンダー能力を叩き込んでいれば、フリットに対してできたように、レイナの心の中のジラードがレイナを止めていたかもしれない。
でも、キオがその使い方に気づいたのは恐らくもっと後です(最終決戦のザナルド戦前後)。

今振り返った仮説だと、AGEでは「対話には前提になる武力の余裕が必要だ」という裏前提があるようにも思えます。
うん、なかなかシビアですね。段階を踏んでいる。

ただし、あくまで仮説。
本編ではっきりしているのは、ルナベース戦と最終決戦でのキオの違いは、
・「NT能力を使っても分かり合えないものがある」ことを知っているかどうか、
・挫折があるかどうか、そして、
・FXバーストを得ているかどうか、
です。

さて、ジラードに戻ります。
ゼラのことを踏まえたうえで、このエピソードがなんで出てきたのかな、と考えると、「繰り返された過ちの処理」というのが一つあるのかな、と思います。

キオはゼラを「人間」として助け出すことで、戦争の悲劇が繰り返されることを防ぎました。
ゼラを「同じ人間だ」と肯定したのはキオだけです。肯定しただけではなく、実際に打ち倒して救出して見せた。
だから、「人類は一歩進んだ」とイゼルカントも納得ができる。

では、キオだけにチャンスが与えられていたのか?
そのためのジラードだったのではないか?


ジラードの場合、フリットとゼハートにも対処のチャンスが与えられていました。
特にフリットは、「あいつは今はヴェイガンだ。レイナの居場所はもうない」という形でジラードを拒絶します。
キオが「どういう形でも、人は手を取り合って生きていく」としてゼラを肯定したことと対照的です。

これはフリットの限界なのか?となると、難しい。
年月を経て生きてきたことで、できることとできないことを弁別できたともいえる。
そもそも、彼には待つ猶予が与えられていませんでした。
彼があと少し遅れていたら、彼の孫が死んでいます。一人の大人として撃つしかない。

事実はひとつ。与えられたチャンスをフリットは生かさなかった。


では、救世主になるチャンスがあったのはフリットとキオだけなのか?
思い返したのがトリコロールのレギルス。「ありがとう」とともに、敵対関係を飛び超えて託されたガンダム。
イゼルカントに「光になれ」と言われて託されてから、ゼハートの駆るレギルスは誰も殺していません。
もう一つの無垢なる救世主と言ってよい。

ゼハートは、なぜ救世主になれなかったのか?


それからもう一人、そもそも話題にすら出てきていませんが、アセムはなんで救世主になれなかったのか?
いや本人がなろうとしていないし、「劇中でも救世主になれ」、とは言われてはいないんだけど。


ヒトゴロシだから?いやいや、キオだって人はバカスカ殺してます。
振り返ると、もっと平等に、劇中でフルイがかけられています。


そのフルイは、命をあきらめたかどうか?だと、私は思います。

フリットはレイナが自分と似た苦しみを持つものだと気づきつつ、彼女の帰る場所を否定し、彼女を否定しました。
実際に手も下しています。その意味ではフリットはレイナを二度殺しています。

ゼハートは自分の「殺したくない」という意思と「彼らの犠牲は本当に必要なのか?」ということに気づきつつ、ザナルドとフラムを殺しています。

TV版のアセムはゼハートのコクピットを殴ることはしなかったけど、「できないこともある」と割り切って生きている人間です。
ゼハートがアセムの救助を拒んだのか、真相はTV版ではわかりません。
ただ、アセムはゼハートのコクピットに飛び込んでまでゼハートを助けはせず、(結果的であるにせよ)彼を死にゆくに任せてしまいました。

「いのち」を最後まであきらめなかったのは、キオだけです。

ただし、彼は頑固です。
いや、結果的にAGE-FXに乗ってからは誰も殺していないのだけど、彼のしたことが手放しで肯定できるかは別問題。
セリック隊長には文句を言われていました。殺せるときに殺せる相手を殺していないから、アビス隊が全滅しています。

「連邦」「ヴェイガン」という色分けで考える限り、ふざけるな!です。
いや「人間の命は大事」という観点でも、ふざけるな!ですが。

でも、そういうキオじゃないと、ヴェイガン問題の根本はつぶせない。

「それも人だ。そして人はこれからも手を取り合って生きていく。」

キオが当たり前のように言い放った結論は、当たり前じゃない状況の方が遥かに長いです。
むしろ、それを当たり前に言えるように戦ってきたのが人間の歴史だと言ってもよい。

イゼルカントやフリットの言っていた「救世主」に一番近いことをやりとげたのはキオですが、本人は恐らく「僕も普通の人間だ」というように思います。

確かに、イゼルカントが仰々しく語っていた火星戦争も人類史で連綿と続いてきたパターンに過ぎないし、キオも特別新しいことはやっていません。
でも、なんでゼハートやフリットではダメだったのか、と考えるとガンダムAGEのテーマの「AGEの積み重ね」が見えてきます。二人とも総合力では遥かにキオより優秀で、思慮も深い。多くの経験も積んでいる。


ならば、なぜキオなのか?
これは、劇中の登場人物がそれぞれ何を許せて、何を許せなかったのか、それがどうして起きたのかを考えていくと見えてくるように思います。


AGE-FXに乗ってからのキオは終始「いのちが軽々しく失われること」に憤っています。
オリバーノーツ時代から片鱗はありましたが、ヴェイガンの世界に触れたことで、彼にとっての「いのち」はヴェイガンも同じウェイトになっています。
ザナルドに切れたのも命をゴミ扱いしたからです。
ディーンを殺したときよりも「ゴミ」発言の時の方が表情の変化が大きいです。

「敵」に対する怒りがないから、彼の駆るAGE-FXには赤が使われていません。
ゼハートのレギルスは確かに完全な救世主に近いんだけど、それは「理想を完全にしただけ」であって、理想の先の進化ではない。だから「討ってもいい(殺してもいい)」敵が存在して、その敵への怒りも存在する。
その分だけ命をあきらめてもいます。

じゃあキオが優れているか?そうだよ、と言い切れるわけでもないです。
環境の違いがあり、立場の違いがあり、使える技術の違いがある。
各人それぞれ、その立場でベストを尽くしています。
キオもAGE-FXを得て初めて、やりたいことができるようになりました。

キオがほんの少しだけ頑張ったのは、他の人より頑固に自分のヤリタイコトにこだわったことだけです。
でもそれは、キオがガキで、恵まれた環境で育った人間だからでもある。
また、キオの頑固は自分の命を危険にさらし、味方を何人も生贄にもする。
ゼラを救って問題の根本がなくなっても、犠牲は帰ってこない。それはそれ、これはこれ。

うん。わけわからないですね。
みんなどこかで狂っていて、どこかに矛盾がある。すっきりした結論もない。


でも、人間なんてそんなものなのではないでしょうか。
それでも、人間は生きていく。

でもAGEにはフィクションがあって、たとえばキレイゴトを押し通せるガンダムというスーパーパワーだったり、真摯に努力している人間に何らかの形で救いがあることだったり、非常に優しい世界観だと思います。


ということで、表題に立ち返ると
救世主の資格は、「命をあきらめないこと」なのではないでしょうか?
イゼルカントには通じた。世界を救いもした。でも、そのために生じた問題もある。決して単純なマンセーではない。
全部ひっくるめて、「救世主」というフィクションにぶち込んだのがガンダムAGEなのではないか?と思います。


本当の救世主?そんなものは、多分ガンダムAGEにはいませんよ笑

「だって、それがにんげんだもの。」

おっさんのキオが苦笑しながらそういう声が聞こえてきそうです。青い鳥がはばたく青空の下で。












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