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シェイクスピアの四大悲劇を適当に考えた  

まどか記事の幕間に。

祖父が入院して会話もままならなくなり、よく『リア王』のことを考えたりしています。
旅行中もよく思ったのが基礎知識と基礎教養の関係。
高校までの詰め込み教育はなるほど大事で、基本パーツがないとそもそも教養が上に乗らない。
だから、判断が限定される。

歴史やら地理やら自然法則やら、知っていれば知っているほど、好きな時に思考の引き出しから取り出して、比較したり吟味ができる。

知る分だけ、世界は楽しくなる。強くなることは楽しいことだとも思う。
今の自分の状況は、リア王を思い出すと何か参考になるのだろうか?
子供のころに文庫で読んだきりのものを、ちょっと調べてみました。




シェイクスピアの四大悲劇とは、リア王、マクベス、ハムレット、オセローです。

いずれも16世紀以前のお話で、
リア王はイギリス王が相続ミスってお家騒動になる話。老いたイギリス王と、彼に献身する娘の悲劇。
マクベスはスコットランドの有力貴族夫婦が自滅する話。欲をかくとしっぺ返しが痛いよねという悲劇。
ハムレットはデンマークの王子が王室乗っ取りに巻き込まれて黒幕もろとも自爆する話。みんな不幸になるよねという悲劇。
オセローはキプロス総督の黒人将軍が部下に逆恨みされて妻を殺して自殺する話。猜疑心が呼ぶ悲劇。

一応たしなみ程度には知ってて、高校の英語の教科書で大のシェイクスピアファンの教師に読まされたりしたのですが。。。


今見返すと、


おい、なんだよこれ!!!!!
見方が変わっていてびっくりでした。
いや、あらすじ見てると、コレ訳してるやつ裏とってねーだろ!状況想像してねーだろ!!と思うところが多い。


劇中の人が、いつのどこの誰でどんなヤツなのか、元ネタが何なのか、とか、踏まえると意味が変わる場合があります。

たとえばオセロー。サイプリュスの総督って何?そもそもコイツ誰?中世で黒人が将軍やってるってどこ?
敵役がイアーゴーという男なのですが、彼をどんな役者がどういう背景をもって演じるかで物語の意味が変わります。

調べてみると、オセローはヴェネツィアの軍人です。妻がヴェネツィア元老院の娘。
イアーゴーはオセロー隊の古参兵の旗手。自分を差し置いて若輩者がオセローの副官になったことからオセローたちへの妬心を起こす。
サイプリュスとは今のキプロス。オセローはここの総督として赴任します。
ヴェネツィアがキプロスを統治していたのは1489年から1570年まで。
キプロスは1489年に王家が断絶、ヴェネツィアの統治下になります。
この時期は東地中海にはオスマン・トルコ帝国が勃興してきており、オセローもオスマン艦隊と交戦、撃破しています。
オスマンがヴェネツィアを破って東地中海の覇権を確立するのが1538年のプレヴェザ海戦。失うのが1571年のレパント海戦。
キプロスがオスマンに落とされるのが、同じ1571年。そもそもレパントでオスマン艦隊を撃破した艦隊自体が、イスラム教徒からキプロスを防衛するために駆り集められた西地中海諸国の艦隊です。


さて、オセローは優秀な軍人ですが、ヴェネツィア切っての名将かどうかは不明です。
オスマンにそこまで手こずらずに勝てている状況、総督のくせにのうのうと自殺できている状況を考えると、キプロスでのヴェネツィア支配が安定し、かつ、オスマンの脅威が少ない時期だと考えられます。だいたい1505~1525頃なのではないでしょうか?

つまり、大航海時代のただなかに生きていた人です。

じゃあオセローの嫁がどんなヤツ?と考えると、コレ、政略結婚のにおいがする。
というか、シェイクスピアの時代の貴族は政略結婚がデフォルトでしょうし。。。
そうなると途端にキナ臭くなってきて、イアーゴーと組んでオセローの足を引っ張ってくるヴェネツィア人たちも、じゃあ何を考えていたの?という話になります。

敵役のイアーゴーにしても、武闘派連中の部隊の旗手でオセローの優秀な右腕だっただから、ジャイアンとかガッツみたいなヤツのはずです。旗手の仕事はどんな戦場でも旗を翻らせ続けることなわけで。

間違っても、ひょろい人間なんかじゃない。なまっちろい役者が演じると内容が根本から変わります。
また、同性愛の要素もあります。中世は洋の東西を問わず同性愛が普通に存在する。厳密には両刀。女が政略結婚の道具である以上、本当に信用できるのは情愛を交わした「男」です。だから愛し合う男たちで構成された部隊は強かった。

これを踏まえると、イアーゴーという男の意味が変わります。彼はオセロー隊の古参兵。
彼の聖域を、新参の嫁だったり副官だったりが踏み荒らしてきたわけです。

イスラム教の問題も絡みます。オセローはムーア人。
北アフリカ人となると、恐らくはチュニジアあたりの出身なのかな?
イスラムの人間なのか、ローマ文化圏の人間なのか?
イアーゴーはどうだったっけか?

それが、シェイクスピアがそもそも参考にしたであろう元ネタ。
ただ、この情報がどこまでシェイクスピアに伝わっていたのかを考える必要があります。
シェイクスピアは「旗手」をすぐイメージできる世界に生きていた人なのか?


そう考えていくと、シェイクスピアがやっていることがそもそも二次創作で、現代の感覚だと『ドリフターズ』『センゴク』『るろうに剣心』『あずみ』あたりとあまり変わらない。

英語の授業とか、こういうの教えてほしかったなーと思います。

マクベスにしても、悪役として描かれますが、彼には王を殺すべき必然があります。
王が死んだときにマクベスが王になっているから、彼は継承権がある。
でも、王には息子が二人いた。優秀で人望もあるマクベスは、その時点で警戒(ていうかいつか対処)すべきNo.2です。

なお、マクベスと同格でバンクオーという将軍がいます。
彼らに魔女が残した予言は「マクベスは王になる。バンクオーは子孫が王になる」です。
この時点でもう警報なりまくりです。マクベスもバンクオーも、粛清対象としての条件を満たしている。
特にマクベスなんか、のうのうと殺されるのを待っているのがおかしいレベルです。

劇中ではマクベス夫人が王殺しを唆しますが、賢明な選択だったのではないでしょうか。
今は王はマクベスを疑っていない。でも、いずれ王が息子に権力を継承する際、マクベスが邪魔になるのは確実です。

ただ、マクベス夫婦は王の器ではなく家臣の器でした。犯した罪におののいてしまい、自滅します。
このマクベスたちはスコットランド人。「いつ」の人かは、まだ裏を取っていません。


続いてハムレット。
これは・・・デンマーク王子のハムレットさんの行動がやばいです。
次の王がコイツ、と考えると、そりゃ叔父のクローディアスも王妃も危機感抱くわな。
デンマークの場合は近隣に敵がいるし、アホを王にするとみんなが不幸になります。
ハムレットの周りの連中がみんな国王側だったのも、むべなるかな。

最後はリア王。
この話、主人公のリア王と娘に注目するとどうしようもない悲劇です。
でも、敵側に注目すると一気に面白くなります。ワガママキチガイ親父の兵隊と権力を削ろうとする娘たちに対し、親父に肩入れする頑迷な忠臣どもとヤンデレ末娘。
極め付けが敵役エドマンド。これがサラリーマン向け漫画のピカレスクロマンに出てきそうな快男児です。

このエドマンド、私生児の生まれながら、嫡子(兄)と親父をハメることで自分の家を乗っ取って貴族になります。
そのまま大貴族に取り入り、リア王家のお家騒動に乗じて娘たちもモノにしてしまう。
ヤンデレ末娘と、それに肩入れするフランス軍(この機に乗じて侵攻してきたわけです)も返り討ち。

最後は兄貴に討たれますが、イングランドの内憂も外患も全部ぶっ潰して笑いながら死んでいく。


ああ、言い出すとアントニーとクレオパトラとか、やばいですwww
「シーザー」は個人名じゃなくて役職名だし。
「ポンペイ」は地名じゃなくて人の名前、それもあまり知られていない苗字だし。



なんか。。。。
ちゃんと読むとこんなに面白いものを、なんであんなにつまらなく教えられていたのだろう?
と思いました。ハラが立ちまくりですwwww

私がネットで調べたのはせいぜい1時間程度で、この記事にしても1時間かかっていません。

ソイツがどんなヤツで、どんな状況で何を考えたのか?
ソイツの立場になって、周囲の状況を再現して考えるだけで良いのに!!!

再現したり考えるためには基礎知識が決定的に大事だし、だから暗記科目は馬鹿にしちゃいけないんだけど、
その知識の運用、その先に広がる世界の楽しみを伝えるの、教師の仕事なんじゃないの?とは思います。

いやさ、テストって人を責めるためのものじゃなくて、理解度と適性を測るためのものだと思うんですよ。
テストで30点を取った生徒がいたら、足りない70点を責めるのではなく、彼が得た30点の価値を広げる方がはるかに楽しいんじゃないの?


とは、思います。


私はこのジャンルをほとんど知らない門外漢なので、専門家の方にがっちりした講評をいただくと、また違うのかもしれませんが。







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