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ヒーロー  【なんちゃってまどマギSS】  

バレンタインの日、私は素敵なヒーローと出逢った。
“私”の、始まりの物語。



バレンタインってことでPixivに投下したSSです。ガール ミーツ ボーイ。
あえて、キャラの名前をまったく出していません。

名人伝同様、「いつ」の「だれ」の話か、推理しながら読んでみると面白いかも。





ヒーロー


とんでっちゃった。
赤い風船。
「おまけだよ」って、駄菓子屋のおばさんがくれた風船。

風に吹かれて、逃げて行っちゃった。
せっかく、お母さんに持って行こうと思ったのに。

どうしよう。


がんばって、いちばんいいチョコも買ったのに。
お父さんに、またシンパイかけてしまう。
せっかくよろこんでほしいのに。

木に引っかかってる。
ゆらゆら揺れてる。あのヒモ、お父さんなら届くかな?

どうしよう。どうしよう。
早く帰らないと。でも・・・
あの赤い風船・・・

「ちょっと待ってな?」
誰?
振り向くと、半ズボンの男の子。私と同じ、3年生くらいかな?
でもこの子、何で赤いランドセルなんだろう?緑とか黒の方が似合いそうなのに。

男の子はランドセルをぽいっと放り投げて、スルスルと木に上っていく。
「あぶないよ!!!」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ」
ニカッっと笑う。


なんだか、私も大丈夫だって思えてきた。
2階のベランダよりも高いところなのに。
こわく・・・ないのかな?

もう、ヒモを握ってる。
「とれたよっ!いまそっち行く!!!」

ばん!
飛び降りた。あの高さから。
あっけに取られる私に、ニッコリ笑ってヒモを差し出す。

「ほら!」
「あ・・・ありが・・・とう。」
まぶしい。
顔をちょっと上げて、恐る恐る見ることしかできない。
白いズボン、汚れちゃってるのに。

「そんなにキンチョーしなくてダイジョーブだよ!
 はいっ」
手渡された。重なった手があたたかい。
どうしよう。ドキドキしてきた。まともに顔が見られない。心臓がバクバク言ってる。
なんか・・・なんかお礼をしないと・・・そうだ!!!

「これ・・・お礼に・・・」
「ん??チョコ?くれるの?」

コクンとうなずく。ドキドキして、しゃべれない。

「ありがと!
 ・・・でも、大事なものじゃないの?」
「・・・いいの。」
そういうのが精一杯だった。

・・・好きな人にあげるものだから。
好きになった人に、あげるものだから。



「・・・じゃあ、半分こしよう!!!」
カーっとなってて最初聞き取れなかったけど、そういってくれたのはわかった。

パキッと、チョコが割られる。
男の子はニコニコ笑って、
「いただきます!・・・わぁ!!おいしーーー!!!ありがとう!」

つられて、私も思わず笑ってしまう。
「ありがとう!すごくおいしかったよ!」
その子はそういって、きたときと同じように赤いランドセルをつかむと、
さわやかな風を残して去っていった。とてもいい、匂いがした。

私はポーっとなってて、
名前を聞いていないことに、しばらくして気づいた。
今から追いかけても、スカートだし、もう追いつけない。

髪の毛の色と同じ、青い風のような子だった。
チョコの残った半分をじっと見て、パキンと割ってみる。
口に含むと、不思議な味がした。とっても甘いけど、ちょっと苦い。

・・・
帰ろう。遅いと、お父さんもお母さんも心配しちゃう。
このチョコを持って帰って、喜ばせてあげないと。
きっと、いっぱいの笑顔で喜んでくれるはずだから。


―もし違う自分になれるなら、あの子みたいなヒーローになりたい―
困っている人を、その場で迷わず助けられるような、強くてかっこいいヒーローに。

ふっと、そういう思いがよぎる。
そう思っちゃった私は、悪い子なのかな?
こんなに幸せに暮らしているのに。
帰ったら、もっとお祈りをしないと。
もうじき生まれてくる、妹のためにも。


世界には、かわいそうな人たちがいっぱいいるのだから。






ずっと後に、私はその子と再会することになる。
お互いがお互いに気づくこともなく。
私は、あの時みたいなオシトヤカなイイコちゃんじゃなくて。
その子も“本来の姿”で私と相対していた。

もし、8歳の私が「女のアタシが貰うのもなんか悪いし・・・じゃあ、半分こしよう」という彼女の言葉を聞き逃していなければ。
この結末は、少しだけ違っていたのかもしれない。


でも。
私は違うどこかであなたに出逢って、やっぱり、“あなたに始まりあなたに終わる”戦いをしていたのだと思う。
ウチにきたあなたは、あのときと同じ、まぶしい香りがしていたのだから。
ごめんね。気づくのが遅れて。

さあ、帰ろう。
迷子の青い風船、私がすぐに取ってきてあげるから。


(了)












【補足】

「史実」に反することは書いていません。
モモはまだ生まれていません。
杏子の父親はまだ教義に反することを言っていません。
したがって、杏子はまだ貧乏暮らしもしておらず、セカイに失望もしていません。
また、杏子はさやかのことを男の子だと勘違いしています。
杏子がメタ視点なのは、死の直前に過去を振り返っているため(劇場版で特攻直前にヤリ構えたあたり)。



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