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逃避行、ふたり (前)  【なんちゃってまどマギSS】  

ツイッター上での、とあるゲスなツイートから生まれたなんちゃってSS。制作時間2時間の即興。
SSと名乗るのもおこがましい、詩のようなものです。pixivに投下したヤツを再掲。




逃げていた。
崩れてゆく町の中で、私と、まどかと。

そう、まどかと。


「じゃあ、逃げちゃえばいいよ?」
彼女はそう言った。ティッシュをひとつまみ、取り出すような軽さで。

まどか。
私の、大切な友達。

―たった一人の、大切な友達―

どうして、そう思ったのか。
今の私なら、わかる。



逃避行、ふたり(前)





あの目。
どこまでも優しさを湛えたあの目で、唐突にそう言ったのだ。

だから、走っている。
もう決めたのに。迷わないって、決めたのに。
彼女はあっさり、私の凍った心を包み込んだ。


私の手を引いて走る。
どうしてだろう?
足も目も強化したはずだ。
まどかに頼っていた、あのころの弱い私ではないのに。
魔法少女でもないまどかの背が、とても眩しい。

―どうして、あなたはそんなに自信を持って走れるの?





眼鏡を外してから、生活が激変した。
信じられないくらい人に囲まれ、多くの告白を受けた。
何かにすがるような目、期待するような目、それから
私が一番嫌いな、私から何かを引き出そうとするいやらしい人間たちの目。
私の美しさも、身体能力も、まやかしに過ぎないのに。

かつて私をそしった人たちが、卑屈な目で近づいてくる。
本当の絶望は、人間の暮らす中にあるのかもしれない。


だから。
あのときのまどかが、とても新鮮だった。


警告だけして、いつものように裏から守るつもりだったのに。

「一緒に食べよう?」
警告してから2日後、クレープに誘ってきた彼女のいたずらっぽい目に、私は抗えなかった。







手。
この手を通じて、鼓動が伝わってくる。まどかのぬくもり。
振り向いて微笑むまなざし。吸い込まれそうな、まなざし。

でも。
この目は、どこを見ているのだろう?

私と走る先に、彼女は何を見ているのだろう?
逃げた先には絶望しかないのに。
なんで、まどかは笑っていられるのだろう。


私が話すまで、まどかは何も聞いてこなかった。
その代わり、色々なことに誘ってくれた。
一緒にお菓子を食べたり、買い物をしたり、ただ歩いたり。
5回続いた後で理由を尋ねたら、しばらく考え込んだ後で

「ほむらちゃん、何か重いものを背負っているみたいだから、楽になればいいなと思って。
 それに・・・
 私のためにやってくれてるんだよね?」

照れくさそうに、笑われた。
その笑みで、私は落ちた。

落ちたのだと、思う。
誰にも言うまいと思っていたすべてを、ぶちまけてしまっていたのだから。


彼女は、ただ、聞いていてくれた。
ずっと、寄り添っていてくれた。





走る。
ひたすらに、走る。
「じゃあ、逃げちゃえばいいよ!」
話し終わった私に、彼女は軽やかにそう言った。
「私も一緒に行くから」という、殺し文句を添えて。

決めてからは速かった。
鹿目さんはどんくさい、なんて誰が言っていたのだろう?
まどかはいつも速い。
強くて頼もしい、私のヒーローだ。


渋る私の手を引いて走り出す。
行き先はわからない。1週間後の災厄を前に、これじゃあ夜逃げも同然だ。
魔女のいない世界かもしれないし、誰も知らない場所かもしれない。
中学生二人だけなんて、まず無謀なのに。

彼女となら、できる気がする。


ちがう。
私は、幸せにならないと。


「・・・みんなを守らなくていいの?」
そう聞いた私に、彼女はちょっと辛そうな顔をした後で、こう言ったのだから。

「ううん。ほむらちゃんの幸せの方が大事だから。」
私は、彼女を止めることができなかった。


私たちは走る。
見滝原の外へ。ここじゃない、どこかへ。





壊れた世界。
ビルが崩れ、看板が飛び狂う。
目の前の道路が、あざ笑うように盛り上がり、爆ぜる。

見上げた空には、忘れるはずもない・・・アイツ!
ワルプルギスの夜だ。

「そんな!一週間後のはずなのに!」
―まどかにウソをついてしまった・・・

その、私の愕然は、
「やっぱり、逃げちゃダメだったのかな?」
舌を出して見せたまどかの笑顔で、かき消された。

揺れは収まらない。
私たちを追うかのように、町も、山も、お腹から揺さぶるように吼え続けている。
でも。

この手の先、このリズム。
私の手を引くまどかは走り続ける。
―どうして、あなたは走れるの?
そんなに、迷いもなく。
どうして、そんなに簡単にみんなを捨てられるの?

3つ目の丘にさしかかる。
この峠を越えれば、もう風見野だ。

―それでいいの?


「ねえ」
思わず立ち止まる。まどかが振り向く。
一瞬怪訝そうな顔になったけど、直後にまた、あの笑顔。
「どうしたの?」

「・・・いいの?」
「?」
「町。私には何もないけど、まどかには大事な人、いっぱいいるでしょ!
 家族も、友達も!!!」

「大丈夫だよ。」
まどかは、もう困った顔もしなかった。
「私が決めたことだから。ほむらちゃんと一緒にいる、って」
「!・・・どうして?まどかにとっての私は・・・」
「大事な友達だよ。
 ほむらちゃんがずっと私を見ていてくれたように、
 私も、ほむらちゃんのそばにいてあげたいって思ったんだ。」
「・・・」
「ずっと一人ぼっちで戦ってきたんだもんね。私なんかのために。」
「“なんか”じゃないよ!!!」

フフッと笑って
「そういうほむらちゃん、だからだよ。

 もう、ずっと一緒だよ?
 いやなこともつらいこともない場所で、ふたりでいっぱい楽しいこと、見つけよう?」

これだ。

何の根拠もないのに。
前も後ろも、絶望しかないはずなのに。


この子のこの笑顔があれば、私はどこまでも強くなれる。


だから。
微笑み返して、私も走り出す。
あと少し、あの丘を越えれば。

握るぬくもり。握り返す。
微笑み。微笑み返す。歯から漏れる、幸せ。


「わあ!」
足先が上り道の終わりを告げている。
雲の中、一筋、光が差している。

「・・・きれい・・・」
思わず、声が重なった。

私たちの行く道の先、視界いっぱいの町並みの中。
未来を示すように、黄金の道ができていた。


髪を叩くこの乱暴な風も、
心まで染み込みそうなこの黒い雨も、


もう怖くない、まどかといれば。
もう、怖くなんか、あるものか。




後編に続く)


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