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ガンダムAGE感想 49:長き旅の終わり’  

大変お待たせいたしました。最終回の感想・その3になります。

これは本当にじわじわ来るいい終わり方だったと思います。私のオツムと言葉でどこまでいけることやら。
子供がいる方や次世代と関わる機会が多い方(教育業界など)だと、また感想が変わってくるのではないでしょうか。

なお、今年中に個人誌を作りたいと思います。
今でもいつまでもAGEのファンだぜ!という方のご参加をお待ちしております。


いや、明日からまどかマギカの映画が始まるもので。。。
音楽とか流してたら、これまたずっしり来て、心がまどマギ色になりそうになりました。あの音楽と演出は本当にイイ!

そこを踏まえて、改めて、AGEの魅力を再確認しました。今回の記事も長いです。20分くらいかかる・・・かな?
今まで読んでくださった皆様の心に何かが残ることを願って。


最終回、放映当初からいくつかの「おお!」がありました。
キオとイゼルカントの問答だったり、フリットの呼びかけだったり。赤と青の使い方だったり。
終わってからフリットの呼びかけについて考えたり、Xラウンダー論の答えについて考えたり。
ラストの銅像前、何で客が二人だけなのかな、とか。

関連して、よくある突込みの「火星まず降伏しろwww」「和平交渉が先だろwww」やら、関連して、最近日野さんが叩かれた「AGE第一話でノーラに進入してきた連中がどこから来たか」について。
考えていくと、フリットの演説はAGEシリーズの肝とも言うべき名演説だということがわかります。


ということで、ガンダムAGE最終回。
「赤(の象徴するもの)の折伏」がテーマなのかなということで、綺麗にまとまりました。

これは、


06強いられてるんだ!

とも関連します。
言い換えると、イゼルカント否定でもあります。


【赤と青について・おさらい】
その前に、赤と青についておさらいしておきます。
ガンダムAGEの中では、いくつか記号が出てきます。よく対比も出てきます。全部解き明かした自信はありません。
今から見返すと沢山発見もあると思います。今週見返す予定でしたが私も見返せてません。

ここでは、
これはタイトルの意味の記事で何回か取り上げました。
ガンダムAGEの中では「地球(や家)象徴としての青」と、「強い怒りの象徴?としての赤」があって、ことごとに対比されてるよーという主張です。

AGE-FXに赤がなく、4回目のEDのワスレナグサが最後のシーンで地球に戻っていること、OPのAURORAでキオが日の出に行き着くこと、OPが4回かけて地球の日の出を実現してきていることなどから、青=地球、は割と鮮明でした。
ここに「家」の概念も入り、「みんな地球の仲間だろう。お帰りなさい」で物語が終わるかと思いましたが、これは外れました。

本編では、代わりの答えが用意されています。
あとで書きます(コメントで既に指摘されていた方もいらっしゃいました。)


では、赤は何の象徴か?
当初の私は、ヴェイガンやゼハートの象徴だと思っていました。
でも、ラ・グラミス会戦でフリットやキオも「強い怒りを抱いたとき」に感情が赤で表現されています。

こんなかんじに。

激情の赤


そして今回。キオとイゼルカントの問答で

49それでも譲れないもの1
49説得
49それでも譲れないもの2
49それでも譲れないもの3

キオの理屈にうぐぐ・・・となったイゼルカントが、「ならば力ずくだ」とキレる。
そのときに、背景が青緑から赤になります。


脱線ですが、前にも記事にしましたが、このやりとりはやっぱり爽快感があります。
イゼルカントに終始呑まれていたゼハートに対し、キオは正面から即座に欠点を指摘します。
考え続けていたからできる、キオの真骨頂。キオが物語の最後に「何をしたか」を思えば、味わいが深いです。
とりあえず、これも伏線。



【ヴェイガンの固執】
さて、見返すと最終回のヴェイガンは変なところがあります。
気になったきっかけが、ゼハートの死を聞いた後のオクラムド司令の態度でした。

49オクラムド顔芸

愕然としているし、その後のヴェイガンギアを抑えきれない描写を見ても、ゼハートにかなり依存していたのは間違いない。
でも、この人は降伏を言わない。計画のことも知っていたはずなのに、相当無茶をしても勝ちに行く。
ほかのシリーズだったら、彼は射殺されていてもおかしくありません。

しかし、誰も彼を止めません。文句も言わないし、投降する者どころか戦いをやめる者すら出てきていません。
火星の連中の精神的支柱がゼハートだったことを描きつつ、でもヴェイガンの士気は乱れていません。
それがたとえヤケだとしても。
なのに、フリットの呼びかけではあっさり掌を返す。(笑)

ならば、火星側は何で降伏しなかったのか?
これはイゼルカントが37話でキオにした説明とも絡んできます。

尊厳をかけていたから。




火星の立場を考えると、彼らは普通の和平や降伏は絶対に受けられないのではないか?とも思います。
お前ら棄てやがって!なので、その無念の叫びを通すために戦っているのに、自分たちから折れることができるのか?
折れてもいい、という人は増えてきたようですが、これは根深い問題のように思います。

ヴェイガンが相当浸透していたはずなのに、地球に対して裏切り者が出なかった理由でもある。



【固執と同化】
というのが、ヴェイガンの顔つきキャラは一貫して優秀でした。
確かに性格に難アリもいましたが、艦隊指揮できるわ諜報できるわ空気読むわ結束固いわ、味方サイドの同年代と比べると際立ちます。早く大人にならないと生き残れない社会でしょうし。

キオ編の冒頭で、地球に潜伏していたヴェイガンが一斉蜂起します。彼らはどう暮らしていたのか?
地球の暮らしに、地球人以上に適応できていたのではないでしょうか?少なくとも能力の面では地球人より優位です。
アレだけのものを隠して20年とか我慢できる連中は、組織の中でも優秀なはずです。

でも、適応することで気持ちが風化するのか?
私がそこまで深くなったことがないので、よくはわかりません。移民の人とか、自分の祖父母と接したことを振り返ることしかできません。
たとえば、水の使い方が違います。私が無駄にすると怒られます。
同様に食べ物を残すかどうか、作り方、「もったいない」の意識全般が違う。これ、お金の使い方や物の手入れにも出ます。

そういう地味なところで、埋めがたい意識の差が残り続けるのではないでしょうか?
つまり、日常の些細なことで実は大きな差がある。
それは、「こいつらはのうのうと暮らせるから、私たちのことはわからないんだ」という気持ちにつながる。
一緒に暮らしていたからって気持ちが同じになるとは限らないと、私は思います。むしろ、憎しみが募るかもしれない。

ヴェイガンが何で地球に浸透できたのかなー、と考えると、彼らの資金源とパイプの話になります。
お金は技術の切り売りや鉱物資源で賄う、あるいは地球に潜伏した連中が資金をプール、などで作れます。
もっと大事なのがパイプ。火星圏からの売り物をどうやって地球で換金したのか、とか、どうやって各コロニーに潜り込んだのか、とか。

ダレストがシャナルアみたいな下級兵士に接触できているわけで、相当強いネットワークがあったものと思われます。劇中でもアスノ系の連中以外にはヴェイガンは食い込めていたわけですし。

火星⇔地球で、ヒト・モノ・カネは実はかなり自由に移動できたと思われます。もちろん情報も。
じゃないと、ヴェイガンの作戦のかなりは成立しません。逆に言えば、トップを押さえている以上、侵入経路はどうとでもなります。

じゃあなんでヴェイガンが戦い続けていたのか?という問題なのですが、これアイデンティティの問題なのかな、と思います。

悪いことをしていないのに割を食ったのがヴェイガンです。
このまま終戦したらずっと差別され続けるかもしれない。
ていうか、戦いが終わったら、また同じ待遇にされない保障が、そもそもない。もっとひどくなるかもしれない。


彼らが(とくに負けが見えてきてから)ヤケになったのは、そういう焦りもあるのかなーと思います。
でも地球側もやられまくってるわけで、「ごめんなさい」とはいかない。チキンレース状態だったようにも思います。


また、A.G.の世界では人類の中で「選ぶルール」がすでに存在して、そのヒエラルキー(階層構造)の中では自分たち(ヴェイガン)が割を食ってます。
このルールにも、ケリをつけなければならない。
ヒエラルキーをひっくり返す戦いを仕掛けた以上、やはり「勝たねばならなかった」のだと思います。

お互いにヒト、という事実を再確認したところで、じゃあ、火星のやるせない怒りはどこに向ければいいのか?
これは、地球側(主にフリット)が持っていた問題でもあります。


これを踏まえると、フリットの演説の意味と、アスノ3世代の役割分担の中身が見えてきます。
あの呼びかけ、相当考えた文章なんじゃないかなーと思います。



【フリットの呼びかけ】

ずっと引っかかっていたのが、フリットの「戦士たち」という呼びかけでした。
改めて聞き直すと、なかなか凄い演説です。

フリットのこの呼びかけ、実に深い。全文掲載します。



聞こえるか、地球圏と火星圏の全ての戦士たちよ。
私の声が届いている、全モビルスーツに告ぐ。戦闘をやめて聞いてほしい。
このままでは、ヴェイガンの移動コロニーセカンドムーンは崩壊し、多くの命が失われる。
これを救うには、誘爆を始めている球体ブロックを、切り離すしかない。
もはや時間はない。ここにいる全ての者たちの協力がなければ、間に合わないのだ。


地球連邦軍と、ヴェイガン全ての戦士たちに告ぐ。


(ここで空に向けてプラズマダイバーミサイルを撃つ)

多くの命を救うため、君たちの協力を要請する!



まず、彼は名前を名乗っていません。
前後の様子から「セカンドムーンにランチャーを撃ち込もうとしているガンダム」が言っているっぽいことがわかるのですが、名前も身分も明かしていない。

また、彼は簡単な言葉を使っていて、煽っていません。何が問題で、誰に何をしてほしいのかを伝えています。
同時に、「火星がもう負けた」ということが、彼の言葉から伝わってきます。
でも彼は勝敗を口にしません。あえて白黒をつけていないのです。

この呼びかけ、呼びかける相手の定義は4回行われています。
「地球圏の戦士」「火星圏の戦士」「放送が聞こえているすべてのモビルスーツ」「この場にいるもの」「地球連邦軍の戦士」「ヴェイガンの戦士」という6つの属性が対象になっています。これは、あの場にいる全員が何かしらの形で当てはまります。

また、「戦士」と呼ばれることでヴェイガンとしても面子が立ちます。
いまさら「同じ人間でした」は、まだ認められないでしょう。


そして、彼は「要請」をしています。要請とは「おねがい」です。ヴェイガンのためにおねがいしているのです。
彼が名乗っていないので一見ヴェイガンの立場に立ったお願いですが、彼は地球と火星を並列で呼ぶときには必ず地球側を先に呼んでいます。その順番でバランスが取られている。

その協力を求める理由は「多くの命を助けるため」です。
これは、人間の根本的な正義感に訴える「大義」になりえます。
形としては、地球連邦軍の司令がヴェイガンのために双方に頭を下げています。ただし非公式。
「命を救う」というのは、誰にとっても戦争をやめる言い訳になる理由になります。
また、フリットの説明から、火星側が負けたことがなんとなーーーくわかります。
戦闘継続の必要がないことも透けて見えます。

ヴェイガンとしては、地球の代表の「ごめんなさい」が必要だった戦いです。
といって、連邦がヴェイガンに頭を下げるのも筋違い。
また、ヴェイガンのコロニー救助のために連邦が動くとヴェイガンが地球連邦に借りを残してしまいます。

つまり、フリットの呼びかけにより、みんなが戦いの決着を理解しつつ、曖昧な状況のまま(たぶん全員が「だれ」の呼びかけかは理解している)、戦いをやめる言い訳を得たことになります。

フリットの呼びかけは、「全部をあいまいにして全員の面子を立て、その面子を保障する」ちゃぶ台返しをしたわけです。

これが、オクラムド司令の「もう俺たちじゃゼラ制御できないからなんとかしてよ」につながります。
ヴェイガンの心が本当の意味で折れたのは、ゼラの問題解決を連邦に委ねたときだと私は思っています。


最終回は、実際の戦闘もさることながら、こうした意地を張り合いのチキンレースが大きな見所だと思います。


【チキンレース】
チキンレースとして見てみると、キオ編の途中から伏線が張られています。
たとえばセカンドムーン。多数のMSが虫干しされていましたが、旧式機も多数。兵員もほとんどいませんでした。
ラ・グラミス戦でも後詰がいません。20隻前後の連邦にセカンドムーンの裏側まで回りこまれています。

一方の連邦も、厭戦気分が漂っている描写がキオ編の冒頭からありました(侵攻されてるのに!)。
アセムが44話で「みんなが戦いをやめたがっているけど、口にできない」と言っていましたが、まさにそういう状況だったようです。(侵攻されてるのに!)

このため、「やめたいのにやめられない!」という意地の張り合いの状況だったように思われます。
そう見えなかったのは、イゼルカント、ゼハート、フリットといった指導者たちが戦争をしたがっており、彼らが言うことが実際に現状解決の最適の方法だったためです。

ていうか、どちらも先に殴られていて引っ込みがつかないので、何かきっかけがないとやめられない。


ポイントは、フリットもこの状況をよく理解していたこと。
彼は頭で考えてあの呼びかけをしたというより、体の中から出てきたものを言葉にしています。
だから、メッセージのリズムは崩れていないし、フリットがことさらに力んでもいません。
つまり、彼自身が回想の中で独白していたように、「あいつらだって苦しい」のは、彼は体ではわかっている。
あの呼びかけはヴェイガンへの理解を長年培ってきたフリットだからこそ言えたし、彼の言葉だからヴェイガンの心にも染み入っていったのではないでしょうか。


フリットの蓄積過程も、劇中で何度か描写がありました。
25話での対デシル戦、27話でのダウネスを押しているヴェイガンを見たとき、対フラム戦でも、彼のヴェイガン観が現れています(当時の私は別の理解をしていましたが)。そもそも彼は14話でデシルを殺せませんでした。

思えば、「天使の落日」からグルーデックがヴェイガンのことを研究し続けてきています。
フリットはその後継ともいえる存在です。また、アセムもキオもヴェイガン問題にその後も取り組み続けたようです。
その意味で、「ヴェイガンを解する」という戦いは、確かにA.G.101の天使の落日から始まって、「みんなの地球」に彼らが同化するA.G.201まで続いていた、と言えます。



さて、フリットの呼びかけは火星と地球のチキンレースをいちおうはチャラにしました。
でも、まだ解決していない問題があります。そこでアスノの男たちの役割分担になります。

長いので、今回はここまで。

リアルがいきなり立て込んだこと、まどマギの映画が絡んだことで次回は隙を見ての投稿になります。
コメントの質問もたまってますので・・・がんばります。ご不便申し訳ありません。



【お知らせ】
その1
うかうかしてたら強力なガンダムAGE解説が始まりました。zsphereさんの解説記事です。私より遥かにガンダムの知見が深い方なので、解説が最後まで続くように応援していただければ幸いです。


その2
年末に個人誌を出します。
コンセプトは「2012年のガンダムAGEを残す」です。
リアルタイムで見た人間として読み取り、感じたガンダムAGEを残しておきたいのです。

つきましては、参加希望者を募集いたします。
原稿を書いてみたい方、イラストを描いてみたい方、AGEへの思いをぶつけたい方、など、「この時代にもちゃんとファンがいたんだ!」ということを形にしてみませんか?

12月の第一週に締め切りの予定で、形式はテキストの場合はワード、手書きや画像の場合は一度画像データにしていただいて、JPGかより画質維持ができる形式で入稿いただければと思います。またここで告知していきます。

連絡・質問はここのコメントか、Twitterでのchiqfudokiへのツイートか、メール(chiqfudoki@gmail.com)にいただければと思います。



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コメント

一度コメントをさせていただきました、ねぎです。
個人誌を出すということですが、ss(同人小説)などでの参加も受け付けているのでしょうか? もし可能なのであれば参加したいです!

ねぎ #- | URL
2012/10/06 15:53 | edit

うちのブログの名前を出していただきありがとうございますー。
引っ込みがつかなくなりました(笑)。頑張って最後まで完走したいです。

個人誌の件もとても面白いと思います。
私事が立て込んでいなければ、私も短文を寄せさせていただきたいと思います。
詳細が決まりましたら、改めて。

zsphere #- | URL
2012/10/06 23:43 | edit

Re: タイトルなし

>>ねぎ様
コメントありがとうございます。
SS大丈夫です(分量によりますが・・・さすがに150ページとかだと死にます)。
テキスト形式かワードでA5の1枚かその半分程度を最小単位でお考え下さればと思います。
字数にすると500~5000程度。
良かったら、ぜひぜひよろしくお願いいたします。


>>Zsphereさま
コメントとご紹介ありがとうございます。ぜひぜひ!お願いいたします。
テキスト形式かワードでA5の1枚かその半分程度を最小単位でお考え下さればと思います。
至らぬところあるかと思いますが、よろしくお願いいたします。

さわK #- | URL
2012/10/10 13:59 | edit

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