Blinking Shadow ホーム » ガンダムAGE »ガンダムAGE感想 33:大地に吠える

ガンダムAGE感想 33:大地に吠える  

前回は多くの拍手をありがとうございました。
いただいたコメントを踏まえながら見ていました。

今回も、とても面白い話でした。
物語の「仕掛け」だけでいけば、AGEはガンダムシリーズでも一番面白い。
これはフリット編の終わり頃からの、私の変わらない意見です。

さて、今回は"ジャブロー"、ロストローラン攻防の後半戦です。
ヴェイガンの総攻撃の目的は、必殺のプラズマ爆弾による連邦軍の一網打尽でした。
タイムリミットが迫る中でキオとゼハートが激突し、キオ、ナトーラがそれぞれの形で成長を遂げます。
最悪の事態は免れたものの、悲しみを知ったキオの胸中にはわだかまりが残りました。



今回はAGEの答え合わせとも言うべき回でした。何が明らかになったのか?

AGEがキオ編に収束する物語である、ということです。
キオは歴代アスノの中で最も傑出した資質を持ち、フリットが全てを注いだと言っていいサラブレッドです。
そのキオの対極にゼハートがいます。両者の立ち位置はよく似ています。
キオにおけるフリットにあたるものが、ゼハートにとってのイゼルカントです。
キオもゼハートも期待を背負ったピカ一の若手です。

この点、ゼハートはアセムやフリットのライバルではなく、キオのために用意された存在といってもよい。

―アセム編では違うこと言ってたよね?w
言ってました。
ゼハートの敵手はフリット(ヒゲット)、というのが私の主張でした。それも事実です。

AGEが歴史ものである意味が、ここにあります。

フリットはA.G.164までの23年を生きていますが、ゼハートはコールドスリープをしています。
また、フリットはグルーデックの盟友としてA.G.014の戦争も体験しています。

だから「今の」フリットは、対等の敵手としてイゼルカントの思考を理解することができます。
50年間敵として戦って成長してきたから、ようやくできるようになったのです。それがAGEが世代ものである意味です。

今回のエピソードで、イゼルカントの「地球人を試しているのではないか?」という意図に気づいたのはゼハートとフリットの二人でした。なるほどなぁ!!!!でした。


そうすると、キオ編でのフリットの役割が見えてきます。歩くwikipediaです。
でも、このwikipediaは本当に信用できるのか?

そこでナトーラ艦長の出番です。
今回ナトーラが「覚醒」しました。フリットの艦長としての能力とコーチングを評価された方も多いことと思います。


さて、フリットのナトーラへの台詞の「艦長」を「救世主」に変えてみてください。
―これくらいで騒ぐな。それでも艦長か。
―しっかりと目を開け。
―本当にそうか?皆をよく見てみろ。
―お前は艦長になろうとして努力していた。この数日ロクに睡眠をとらず、船の状況に目を通してきたのだろう?
―最初から艦長らしく振舞えるものなどいない。課せられた責任を果たしていくしかないのだ。



そうです。キオへの「救世主心得」としてもほぼ当てはまるのです。
つまり、ナトーラはキオの鏡像だと言えます。
ナトーラが今までクローズアップされてきたことで、フリットがキオにどういう教育をしてきたか、私たちは推測することができるのです。

さて、そのキオに対しては、今回までを見る限り、フリットは
・なぜヴェイガンを憎むのかは説明していない
・そもそも、敵がどういう存在かも説明していない
・戦争が何か、も説明していない
ようです。

つまり、ユリンのこととかアセムのこととか、フリット自身の半生に関わることを殆ど話していない。
そのかわり、「救世主」としてキオがすべきことを知識(思想)とシミュレーターで叩き込んだようです。
※だから、29話でフリットの言葉をキオは全てその場で理解して最適な行動に移せています。

フリットは優秀ですが、手取り足取り全部教えてくれる教師ではありません。
生徒に厳しく接し、自分自身で気づかせて自信を獲得させるタイプの教師であるのが見て取れます。
ただし、これは今の老フリット、つまりジジットの特徴です。
つまり、キオが知るフリットとアセムの記憶しているフリット像には隔たりがある可能性があります。

また、これは閉鎖環境にいる大人のナトーラには有効でしたが、ほかの因子と接する可能性がある、まだ子供のキオにとっては別の意味を持つ可能性が大きい方法でもあります。


教師としての資質とは別に、フリットの思想の問題があります。
31話だかで「イゼルカントは魔王だ。敵を殲滅するまでこの戦争は終わらない」ようなことをフリットが言っていた記憶があります。
ヴェイガンにとってのフリットも、ある意味そういう存在ですよね?

もちろん、フリットはヴェイガンに対しては実際は結構柔軟に観察していて、対応も必ずしも殲滅策をとっているわけでもありません。

※28話のナレーションで「地球は若者たちによって救われた」と複数形で数えている(=ゼハートを数えている)のもポイントです。

でも、フリットだけだと、グルーデックのように憎しみで突っ走る可能性はゼロではありません。
また、彼は事態に精通していますが、「地球側から見た」情報しか持っていません。


そこに、アセムとゼハートが登場する意味があります。
アセムはゼハートと実際に交流しているし、フリットに使われる現場レベルとして戦争を知っている人間でもあります。
今後の立ち位置しだいでは、ヴェイガンの中で生きてきた、というバックグラウンドをもって出てくる可能性すらあります。

ゼハートは上述のように、火星にとっての「進化の象徴」であり、AGEを背負うものに対峙し続ける存在です。
アセム編ではアセムのことが気にかかって本気で戦ってませんでしたが、キオ編になると「わたしがわたしでいられる」ようで、本気を出してきているようです。


フリットは今回、「かつて感じたことのないレベルの潜在力の持ち主」としてキオを評しています。
ここで、アセム編のおさらいです。
フリットの言葉の説得力を、「かつて感じた相手」として私たちも知っています。

キオ >>> マジシャンズ8、デシル、アセム編のゼハート、ユリン です。
このままだとキオが最強なのですが、アセム編のゼハートよりも今のゼハートのほうが強い可能性がある。


少しずれますが、これでフリット編で7歳児デシルが出てきた意味も見えてきます。
彼の役割は、ユリンとウルフを殺してフリットとアセムを覚醒させることです。

フリット編で悪さをする程度のガキで、でも、ヤークの命令は聞き分けるくらいに物心もついてなければなりません。
かつ、ゼハートよりも年上で、MSに乗れなければならない。
といって、大きすぎるとフリットと会ったときにアセムとゼハートみたいに別の感情が生まれたり、敗北の後でトラウマを背負わずに成長ができてしまいます。6-9歳あたりが妥当なのかなぁと。

ゼハートがキオのために用意されたライバルだとすると、フリット編ではゼハートは出れないことになります。
物語の都合上フリットと交流はさせられないし、となると手加減をする理由がなくなる。
ゼハートが手加減しない場合、キオの力>>フリットの力であるなら、ゼハートもフリットに勝ってしまうことになります。


では、ゼハートはただのライバルなのか?
それも違います。これは2つの理由があります。

1つは、アセムの存在です。ゼハートVSキオ(&フリット)の邂逅には、必ずアセムが絡んでくるはずです。
逆に言えば、メガネっ子のレミではなくキノコ頭のオブライトが生き残ったのは、アセム&ゼハートに何か物申すための配置だと私は見ています。

関連して、今回キオとゼハートが初めて会話しましたが、内容がスパイのことだったのも象徴的です。
その意味でも、シャナルアは前回死ぬべくして退場させられたのだと再認しました。

2つ目は、ゼハートのヴェイガン内での立場の問題です。
今までゼハートはイゼルカントの言うことに100%従っていました。でも、今回で疑問をはさんでいます。
その疑問が、アセムやキオの存在でどう変わるのか?
もうひとつ、ゼハートの派閥はアセム編で相当数が殺されています。
ゼハートはイゼルカントの命令を実行していただけですが、ザナルドはそうは見ませんでした。
板挟みになり腹背に敵を抱えかねない今のゼハートの立ち位置が、この先に何をもたらすのか?


未来、といえば、Xラウンダー能力の可能性がキオ編を通じて強調されています。
キオの特殊Xラウンダー能力は、私の記憶する限り3回発揮されています。
・地上のオリバーノーツ(バンクーバー)から衛星軌道上のヴェイガン艦隊を感知(29話)
・敵意を発していない非Xラウンダーのシャナルアを個人特定して感知(32話)
・無機物である壁の中のプラズマ爆弾を、位置・大きさをほぼ正確に感知(33話)
今回シャナルアの幻影が見えたのは何だったのか?15話と同様の演出なのか、14話のように別の何かなのか。

ゼハートがアセム編で「Xラウンダーになることは退化だ」と言っていましたが、一連の描写は別の可能性を示しているように思えてなりません。


「三つの運命が、歴史になる」はAGEのキャッチコピーです。
ゼハートを含めた「四つの運命」が、どんな歴史を織り成すのか?
なぜ、AGEがガンダムを名乗っているのか?
その意味が、今回で7割がた出揃った感があります。漠然と模式図にするとこんな感じです。


AGEの図_convert_20120528144049



今回はエンドカットも象徴的でした。

33話_convert_20120528130715

見たときに鳥肌でした。
爆弾を投げ捨てる話だったのに、こっちがエンドカットなのです。
エンドカットは今まで話の象徴的なシーンを必ず選んでいたから、今回のこのチョイスには明確な意思が込められていると思うべきでしょう。


赤(火星)と青(地球)が混じる空をぶち抜いて、主人公たちが宇宙に上がっていく。
片隅にあるのは、撃破の直前まで戦っていたと思しき敵味方の残骸です。
これは「シャナルア以前」の戦争、つまり両者がただ戦うだけだった時代の象徴ともいえる。
その残骸は置き去りにされるのです。
宇宙に上がると、待っているのは新キャラの登場と三つ四つの巴戦のはずです。

宇宙はフリットにとっては故郷で、キオにとっては新世界です。
その先に何が待つのか?


舞台は整いつつあります。






【そのほか小ネタ】
「ノーラのときもそうだった」とフリット。ヴェイガンは俺たちを試しているのか?と続く。
ヴェイガンは本当に手加減をしていたのか?と言う話だが、エンジェルのときと地球上での一斉蜂起のときは、そうは見えなかったわけで・・・手加減をする条件がある?



「もうちょっとなんです もうちょっとで!」とキオ。
確かに、もう少しキオが追撃をしていたらゼハートは戦死をしていた。まさに紙一重。
では、今回のキオの勝利は性能差なのか?パイロットの差なのか?
ヴェイガンダムの登場で明らかになるはずだ。


キオたちやアルグレイスは地下で体を張っているが、フリットがいるのは上空のディーヴァ。
プラズマ爆発があったら、フリットだけは無事に逃げられる。
キオに危険なことをやらせるのは、信じきってるからだろうけど。


しっかし、第三世代の連邦軍はちゃんと一般兵レベルで士気が高いのネ。フリットが徹底改革しただけのことはある。
そのフリットの処世術だけど、ちゃんと分をわきまえて行動した模様。
彼がヴェイガンを殺すために本気で独裁者になってAGEシステムを全面運用していれば、戦局は変わっていたのかもしれない。そうしなかったのは脚本家の限界か?


キオが爆弾を放り投げるシーン。途中の通路にいたヴェイガンの3機は明らかに生還が期せない。
フリット編で「ロボットのような」ヴェイガンの連中が描写されたわけだが、その後は感情豊かに描かれているヴェイガンの面々も多い。「イゼルカントへの忠誠」と「自分の生命への意識」についてのヴェイガンの描き分けも今後多少キーになるのかもしれない。





ということで、今こそコレを紹介しておきます!クリックして私の研究費(と食費)に愛の援護射撃を!






【皆様へお願い】
最後までお読み下さってありがとうございました。
この記事を読まれて少しでも共感するところがあったら、お手数ですがイイネやランキングへの投票などのフィードバックをお願いします。
皆様のご支援が、次回以降にご提供できる記事の質の向上に直結します。


にほんブログ村 アニメブログへ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト

category: ガンダムAGE

thread: 機動戦士ガンダムAGE

janre: アニメ・コミック

tb: 1   cm: 4

コメント

>「ノーラのときもそうだった」

共通するのは軍の基地があったことくらいかな
エンジェルその他については言及されていないのでよくわからないけど

普通に考えるとそういったところを最優先でぶっ潰すはずだけど
一般人から皆殺しにしていく意味不明な行動

かといって、プラズマ粒子爆弾の破壊力からすると、除去に失敗すればアウト
軍属を捕まえた上で洗脳して戦闘員にするつもりというわけでもないようだ

イゼルカントが弱い奴は必要ないといった思考の持ち主なのか

軍基地での戦闘では連邦のデータの収集が目的であり
爆弾にクラック用のコンピュータが搭載されていて
起動から情報の収集にかかるのが30分程度とかなのか(妄想)
わからない・・・よくわからない

話はかわりますが、最近の戦闘の描写を見ていると
フリット編と比較して随分と量産機やパイロットの能力が強化されたようで
ガンダムは強いけれども、他のMSも充分に活躍できる状態になってきました
アセム編から既にその傾向はありましたが、ヴェイガンとの差はより詰まり
ガンダム単体の戦闘能力は連邦全体における戦闘能力のウエイトとしては低下している
そんな気がします
侵略が進んだのは明らかに政治及び戦略面の詰めの甘さからくるものですよね

そう考えると、33話まで見て
イゼルカントの真意ってなんだろう?
キオの潜在能力とは統制された数の暴力すら凌駕しうるものなのだろうか?
そもそも「救世主」とは何だったのか?
細かく挙げるときりがなく、まだまだ色々と疑問が尽きないです

最近思い出しましたが
10年以上前に「「英雄」とは世界を救うために捧げられる「生贄」だ」と主張したRPGがありまして
アスノ家(主にフリット)の人生は正に
「ヴェイガン打倒のために捧げられた「生贄」」のように思えて仕方がありません
「救世主」っていうのは、「そういうこと」なのだろうか

先のRPGでは、国家間でバラバラの主張をしていた人々が紆余曲折ののち団結し
冒頭には「英雄」願望のあった主人公が「英雄(生贄)」の存在を否定した
人々は世界に起こる困難を自らの力で乗り越えることを誓い、誰かを「英雄(犠牲)」にすることではなく
「人類すべて」が英雄となることで、災厄の撃破を主人公に託した

ガンダムAGEの世界観的にそれはありえなさそうですが
このまま「救世主(英雄(アスノ家を生贄とすること))」肯定の結末になるのか
それとも、何らかの形でそれを否定する結末になるのかが気になるところです

旭山のカピパラ #vhaQw4H2 | URL
2012/05/28 16:12 | edit

イゼルカントの中途半端な作戦指示は進化を促すための試練を与えるという側面もあるのかなと思っています。
地球侵攻作戦が上手くいけばそれでいいが、上手くいかなかったとしてもAGEシステム(その関係者も含めてかもしれませんが)が進化してヴェイガンへ何らかの利益があればそれで良いというスタンスでいるところがあるかなと。

今のところガンダムは順調に殺戮兵器として進化していて、このままだとヴェイガンを殲滅するまで止まらなくなりそうだと思っていたんですが、今回AGEシステムの改良の話が出たのとキオの変化でひょっとしたら進化の方向が変わるのかなと。
破壊兵器ではなく別の超常の力を発揮するものに変わると面白いのですが。

仮にですが火星圏の居住環境を改善(テラフォーミング)できるようになると作中での争いの原因が減るのかなと。
過去の作品で文明を埋葬する力をもったガンダムがいたので、その逆?のような力をもったガンダムが出てきてもいいかなというただの妄想でしかありませんが。

イゼルカントはAGEシステムについてのフリットの知らない情報を持っていて、ずっとその掌の上で話が進んでいるような気がします。
過去にフリット以前のアスノ家の人間と接触したことがあるのかもしれませんね。


KEI #- | URL
2012/05/29 23:25 | edit

>KEIさま

>過去の作品で文明を埋葬する力をもったガンダム
∀ガンダムですね
月光蝶と逆の力を持ったAガンダムといったところでしょうか

火星のテラフォーミングが実現できれば争いの種は大凡なくなりそうですね
現実の火星は
自転しない惑星であるため地磁気によるバリアが地球と比較してまともに働いていない
大気の層が地球よりも薄いため紫外線を吸収するオゾン層や
放射線を反射する電離層等の大気バリアがまともに働いていない
らしいので
どちらも現実的な対処方法は思いつきませんが
とにかく、それを成すのがAガンダムってところですかね

こう考えてみると偶然今の環境になった地球マジスゲー

これまた妄想ですが
イゼルカント自身がアスノ家から火星に旅立った科学者である可能性も否定できませんね

旭山のカピパラ #vhaQw4H2 | URL
2012/05/30 00:59 | edit

>>KEIさま
イゼルカントの掌の上というのは、まさにその通りかなと思います。
「ヴェイガンは本格侵攻を謳っている割に移住の準備をしていない」ということをロクヨンさん(私がフォローしている方です)が書かれていて、そういえばそうだよなと思った覚えがあります。

ご指摘のターンエーもありますし、移住しようとしてきた別の異星人との戦いのテンプレは既にひとつのテンプレになっているようにも思います。
となると、制作スタッフが忘れていたというより、意図的なものなのかなぁと。

Xラウンダーが退化というのも実は変な話なんですよね。というのが、当のイゼルカント自身は彼の超能力を相当肯定的に使っているので。幻影を見せて煽ること自体を詐術だと達観しているのかもしれませんが。

今回で「イゼルカントを解せる者」としてのフリットの立ち位置がはっきりしてきました。イゼルカントとフリットの邂逅(=物語の種明かし)が、次世代のキオとゼハートの作る未来に反映されていく形になる・・・のかな?

>>旭山のカピパラさま
結構論点がずれてきているので、ご自身のブログで書かれた方がちゃんとした議論ができるかも。

さわK #- | URL
2012/05/30 16:46 | edit

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://chiqfudoki.blog.fc2.com/tb.php/131-d9236fc8
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

まとめtyaiました【ガンダムAGE感想 33:大地に吠える】

前回は多くの拍手をありがとうございました。いただいたコメントを踏まえながら見ていました。今回も、とても面白い話でした。物語の「仕掛け」だけでいけば、AGEはガンダムシリーズ...

まとめwoネタ速neo | 2012/05/29 04:19

プロフィール

検索フォーム

最新記事

最新コメント

アクセスカウンター

オススメ

▲ Pagetop