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ガンダムAGE感想 32:裏切り者  

今週末はリアルがいきなり忙しくなりました。今回はじっくりいきます。
AGEが「繰り返し見ることで発見が多い」作品なのが、良くも悪くもちょっとヘビーかも。

今回は冒頭から地球連邦軍がピンチになります。
キオに好意的だったシャナルアは、ヴェイガンのスパイでした。
彼女が流した情報により位置を特定され、連邦軍残存部隊の本拠地・ロストローランにヴェイガンが攻め込んできます。
小国であるヴェイガンとしては、この攻勢で一気に片をつけてしまいたいところ。
いわゆるジャブロー編にあたる今回、天王山の決戦が始まります。



分水嶺、とはいかないまでも、物語の大きな分岐になる話です。
連邦にとっては喉元での興廃をかけた一戦です。
裏を返すと、ヴェイガンの攻勢はシリーズ全体を通じて今回がピークになるはずです。

動員戦力は巡洋艦が10隻。大気圏突入に躊躇も恐怖も感じているそぶりもありません。
アセム編から一貫して、AGEでは大気圏に突入すること、離脱すること「自体」は技術的にあまりリスクがないもの、という描かれ方をされています。


また、AGEのテーマのひとつの「異なる人間集団同士の接触」としても、今回は大きなステップです。
日野さんのあのコメントはいかにも舌足らずで挑発的ですが・・・

全てに絡んでくるのが、今回退場したシャナルアです。今回の話はシャナルアに集約されるといっても良い。

なぜか?

ひとつが、彼女がキオの今後の戦争観、ヴェイガン観に関わるキャラクターだから。
もうひとつが、今のこの戦局じたいが彼女に象徴されているから。

話の長さと描きたいことから逆算すると、確かにこのあたりで退場させるしかない、という判断になります。
でも、それは話の密度や伝え方とは別問題です。
物語の骨組を映像にする段階で、痒いところに手が届かないのがAGEの通弊です。

シャナルアの退場は「蓄積がない」とか「キャラを使い捨てている」という批判があります。
3話で退場、という判断は恐らくOKで、描写は2倍頑張れたかもしれないな、といったところ。

ただ、描写の質と量も、実は一応足りています。
咄嗟のときに彼女はまず体が動いて、必ず仲間を気遣い、かばっています。
30話でキオに対して、31話でキオとウッドビットに対して、そして今回のキオに対して。
彼女のこの描かれ方は一貫しています。描写の数自体は足りています。


シャナルア_convert_20120521163140

このシーンなんか象徴的ですよね。今の今まで銃を向けていた相手を思わずかばってしまうのがシャナルアです。



キオとの距離にしても、彼にあそこまで顔を近づけた女性がロマリー以外でいるのか?
31話での描写をうまく生かし、キオの感想でも入れていれば深みがぐっと増していたように思います。
そういうものがないから、事実の断片から類推していくしかありません。
(本編の中にある情報だけで、ある程度の再構成は可能です。)


関連して、もうひとつのポイントは、彼女がキオに「ちゃんと小言を言う」唯一の人間だったかもしれないこと。
今回、「母さんは笑って見ていた」ということをキオが述べています。

何を笑って見ていたのか?

フリットがキオに触れていく一連の過程を、です。
キオ編になってから、キオのフリットヘの傾倒ぶりが繰り返し描かれています。
フリットがほかの人間との接するシーンも描かれているので、キオの「じいちゃん信仰」が、フリットの寛容さを過大評価したものであることも、私たちは知っています。
そのフリットのキオ評は「見込んだ通り」です(31話)。
フリットがそう接して、好き放題にキオを「改造」していくことを、ロマリーは笑って見ていたのかもしれません。
心配していないからではなく、深刻な危機だと思っていないから。

言い換えると、キオの身近に、キオを心配していた人間がいるのか?という問題です。

います。
ウェンディもロマリーもユノアも、恐らくはフリットも心配はします。
でも、彼らはいずれも超人だったり、関係が浅かったりします。
庶民感覚での、「わかりやすい」心配を示したのはシャナルアだけなのではないでしょうか?
でなければ、あれだけ利口で吸収能力の高いキオに、シャナルアが何かを言える場面がそもそもないはずです。

まとめます。
キオを初めてちゃんと叱ったのは、シャナルアなのではないでしょうか?


じゃあもっと描けよ、ともなりそうですが、そうもいきません。
話の中でのシャナルアの役割を考えると、今回は結構タイムリミットなのです。


ここで、劇中でのシャナルアの役割が出てきます。ふたつあります。
ひとつが、彼女はキオ(とディーヴァクルー)にとって、「コミュニケーション対象としてのヴェイガン」を意識させた最初の人間であること。これは、最初の人間に過ぎないことの裏返しです。

彼女はあくまで前座です。コミュニケーション対象の本命は誰か?アセムとゼハートです。
その意味で、シャナルアは「シャナルア自身が死ぬまでの描かれ方」ではなく、彼女の死から次以降の出会いまでに、「生き残ったメインキャラたちにとってその死がどういう意味があり、どう心の折り合いがなされたか」ということの方がはるかに重要なキャラになります。

逆に言うと、今回のシャナルアの死を対アセム、対ゼハートのコミュニケーションにどう反映させるか?
この点が決定的に重要です。
フリットの場合は、キオのシャナルアの問題を考えるなら、ユリンのことを必ず思い出すはずです。
こうしたものを全部おさらいして、初めて、AGEが3世代かけてきた意味と、ガンダムを名乗った意味が明確になります。
ここをしっかりおさえるかどうかで、AGEの評価が定まるように思います。



シャナルアの役割が、もうひとつあります。
アスノ家まわりのミクロな問題だけではなく、彼女には火星戦争全体の構図が集約されています。

シャナルアが連絡するまで、ロストローランの位置はヴェイガンに察知されませんでした。
地球であれだけの一斉蜂起をなしたのに、です。
ヴェイガンが地球に相当潜り込んでいることは繰り返し描写されています。
でも、あるレベル以上のセキュリティラインを絶対に超えることが出来なかったわけです。

これは、今回冒頭の「ゼハート隊の諜報も質が落ちたな」という台詞が裏付けています。
シャナルアを見ていると、ヴェイガンには「弱みを抱えていそうな連邦軍人」をリストアップする程度の情報網があることが推測されます。じゃないと効率が悪いですよね?これは世界レベルでやっていたはずです。
フリット編のヤーク・ドレや、アセム編のゼハートたちを見ても、シャナルアだけが質が落ちたわけでもありません。ヴェイガンはかなりハイレベルの潜入工作を続けています。


では、なぜ「質が落ちた」結果になったのか?

フリットがいたからです。
ヴェイガン戦の第一人者の彼は、28話でクーデターを起こして軍の細部にいたるまで大鉈を振るいました。
軍のシステムを改革して強力な組織にするプロジェクトをフリットが行っていたことも、アセム編を通じて描写されていました。

軍の体質が変わった結果、地球側の防諜網が発達しました。また、変な人材が入ったり変なことも出来なくなります。
フリットが強力な網を張り巡らしたから、ヴェイガンが今までと同じ工作をやっていても絡めとられてしまうのです。
「問題児の寄せ集めで強引に出航したイレギュラー」のディーヴァからしか情報が漏れなかったのは、そのためだと考えられます。30話でディーヴァ隊出航のドタバタが描かれたことが、ここで効いてきます。


では、シャナルアは何の象徴なのか?
「イゼルカントの"計画"の限界」の象徴なのだと、私は考えます。
AGEの話はまだまだ20話続きます(打ち切られなければ)。
今回でロストローランを落としたとしても、地球側は組織的に抵抗を続けていくはずです。
一方のヴェイガンは今回で戦争が大詰め、と考えているはずです。
ヴェイガンが主導権をとり、フリット以下アスノ(とグルーデック)を圧倒し続けてきたのが、いままでの戦争でした。

その図式がそろそろ終わります。



しゃなるあ3_convert_20120521172650


終焉の象徴が、「スパイが味方の支部長を殺した」という、この形になります。

だから、シャナルアの退場はロストローラン戦が終わるまでに完遂してなければなりません。
攻防戦の後半でキオの心境変化を持ってくるのであれば、今回の32話がタイムリミットになります。




でも、ヴェイガンとアスノの関係は戦争だけなのか?
そんなはずはありません。

「ヴェイガンと共存する日常を知っている」アセムは、キオと「ずっと一緒にいてやるよ」と願っていたのに行方不明となりました。代わりにキオが「ずっと一緒にいた」のはフリットでした。
一方、ヴェイガンにはアスノ3世代と、それぞれの抱えるアイデンティティに対等のものを持って戦い続けたゼハートがいます。
キオ編までで、「キオ編でのコミュニケーションのお膳立て」がかなり綿密になされています。
アセム、そしてゼハートとのかかわりの中で、キオが何を見出すのか?


そのために、今回のタイトルです。「裏切り者」とは何か?

劇中でシャナルアを「裏切り者」と呼んだのはフリットだけでした。
ほかのメンバーはまず呆然としていて、少なくとも敵として割り切ってはいませんでした。
裏切り者とフリットが断じたときも、ブリッジが息を呑む描写がわざわざ入っています。
そして、次回予告では「"仲間の"死」という言い方がされていました。
セリックの反応を見ても、シャナルアには戻る居場所があったように思われます。

そのシャナルアも嬉々としてスパイをやっている描写はなく、ヴェイガンに拾ってもらうつもりで逃げたわけでもありませんでした。彼女の識別情報もヴェイガンには流れていなかったようで、ヴェイガンは躊躇なく攻撃してきています。
逃げ方にしても、悪いことをしちゃった人がこそこそ逃げ出すように描かれています。
裏切った、というよりは、どうしようもなくなって逃げ出したという方がしっくりきます。

このように、「裏切り者」という表現は、実は何も事実を代弁していません。
シャナルアは自分を裏切り者と思っていたかもしれませんが、言葉に出して伝えてはいません。

では、なぜ「裏切り者」というサブタイトルになっているのか?、
フリットがそう表現したことと、その表現がキオ(たち)に刺さったからです。
あの単語、このほかには今回の話では機能していません。
日野監督の発言や今までのストーリー構成を考えると、シャナルアが「裏切り者」と断じられて死んでいったことが、キオたちのこれからの判断や、他人との接し方に大きく影を落としていくはずです。
逆に言うと、劇中での役割にこれがある以上、シャナルアは今回死ななければならなかったことになります。

シャナルアの死は、いちパイロットの死に過ぎません。
ヴェイガンにとっても、多数の工作員の一人が失われただけのものです。

しかし、彼女はただの一人ではありません。
ここまで見てきたように、ガンダムAGEという物語の中で、今まで張り巡らされた因果の糸が集中していた一人です。


いんがのいと
(因果の糸に絡め取られた人のイメージ)


つまり、ここから物語の流れが大きく変わるはずの死なのです。


シャナルアの死に、どういう値をつけるのか?
それでAGEという物語の真価が決まると、私は思っています。








【このほか、細かいポイント】
前回登場のゴメル(砂漠用)と今回登場のウロッゾ(水中用)はデザインが酷似している。もちろんプラモを売るためなんだけど、「今回も地形の本質が同じだからAGEフォートレスでいこう」とウッドビットが地味に裏付けているのがポイント。言い換えると、ヴェイガンは砂漠の「砂」と海や川の「水」を同じものだと考えてMSを開発していたわけだ。


第二世代から第三世代へのMSの進化は、「人型の制約を超える」「手がふさがっているときに手以外のものも使えるようにしようね」ということで両軍共通している。4本の手を持ち飛行機に形を変える魔人ダブルバレットの評価が、双方かなり高かったのかも。


シャナルアを勧誘した人間?は今回で死亡。つまりシャナルアの劇中での役割は今回で終わり。


キオは敵意を持っていない非Xラウンダーを感知できるのみならず識別も出来る。
今まで登場したXラウンダーの中では彼の能力が一番高い。


フリット→アセム→キオ、と世代を経るにしたがって「MS鍛治」としての色合いが薄れていっている。


今回でAGE-3が単座になる。艦長には実は自立を促していることをフリットが言う。
本編のシャナルアの死とあいまって、新世代の「巣立ち」のお膳立てが着々と整っている。


今回でキオは「家族を2回失って」いる。その意味でキオとフリットが対等になる条件が整ったことになる。



しゃなるあ2_convert_20120521163600





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tag: シャナルア 
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コメント

こんにちは

>第二世代から第三世代へのMSの進化は、「人型の制約を超える」「手がふさがっているときに手以外のものも使えるようにしようね」ことで両軍共通している。4本の手を持ち飛行機に形を変える魔人ダブルバレットの評価が、双方かなり高かったのかも。

この辺の、AGEシステムの導き出した進化の答えとしての
多腕化(フォートレスの直結兵器等を含む)やそれを模倣した「尾」のような人型を超えた形
進化のように見えて実は尾が生えるなど退化のようにも見える

「Xラウンダーはむしろ退化」というイゼルカントのセリフに通ずるものがある気がします

そういえば手や足だけでは人を超えた戦い方はできない点については
随分前の空想科学読本で指摘されていますね、あのシリーズ自体はネタと考えてもいいですがw

AGEのコロニーの形が空想科学読本で考察された型に近いという指摘がWeb上のどこかでされていたことからも
(何巻の話かは忘れたが)柳田理科雄リスペクトが多少はあるのかもしれません

そしてまた、プラズマ粒子爆弾とか人にはやさしくないけど、汚染の少なさそうな兵器が…

旭山のカピパラ #vhaQw4H2 | URL
2012/05/22 13:24 | edit

相変わらずの深い考察乙です。

キオは叱られたことがない、というのには激しく同意です。

前回のウッドビットとのやりとりでは、彼の怒り(嫉妬?)にキオは全く動じるどころか、その気持ちすら理解できていないような感じでした。
おそらく今までキオの周囲には悪意が全く存在していなかったのでしょう。

シャナルアとの訓練でも技術を学んだだけで、彼女の「生き残ることを優先する」という考えにはなんの関心も示していません。それは戦闘中も同じっぽい。
これは「自分が死ぬ(傷つく)ことを想像していない」からだと思います。

以上から、ディーヴァに乗るまでキオの周囲には彼を否定する要素が無かった、と考えています。

その環境を生み出したのは、キオに周囲(主にフリット)の期待に応えるだけの能力があったこと。良い成績をとって怒られることはありません。

もうひとつは、アセム不在+フリットの存在。
なんとなくですがロマリーはアセムとゼハート以外には無関心な気がする&フリットは完璧主義者だから人間関係とかも管理しそう。

そういう育ち方をしてきたため、キオにはフリットと同じく「他人の気持ちを考える、汲み取る」といった思考自体が欠けているように思います。
さらには「自分で考え、決める」ことも最初の子供×3を助ける以外にしていません。
ガンダムでヴェイガンと戦うのはアスノ家の男の使命―だそうですw
ちなみに、アセムは軍人でありながらも自分の考えを持ち、フリットとは異なった、真逆とも言える戦う理由を見出しました。

それが今回初めてシャナルアの気持ちを考え、フリットに反発しました。
さらにフリットの「裏切り者」という言葉にも反感を抱いています。

ということで、シャナルアは、「計画された救世主キオ・アスノ」に波紋を投げかける役割を担っていたのだと思います。
要はさわKさんに同意ですw


3rdEDも今までと同じく、AGEの世界に合わせたものっぽいですね。
奪うだけじゃ救えない命があることに気づいたら♪―キオはどうするのか、とても気になります。

これからも感想楽しみにしてます。長くてスイマセン……ノシ

#- | URL
2012/05/22 17:08 | edit

最初のコメントの退化の件で書き忘れていましたが
アスノ家がMS鍛冶として世代を追うごとに退化していることが
全編を通してみると判りますよね
ウッドビッドとのやり取りからキオはMS関連の開発ができないことが示唆されました

フリットがガンダムを作り、アセムは部活でMSを弄る程度、キオは何もできない

AGEとは、時(世代)を経ることにより得られるもの(進化)はあるが
失われていくもの(退化)も必ずある、と示しているのではないか
なんとなくですが、そんな気がします

旭山のカピパラ #vhaQw4H2 | URL
2012/05/23 17:26 | edit

>>-さま
キオの「欠落」はああーたしかに、でした。
見ていながら見過ごしていたようにも思います。
してみると悪意がない、と言うのはものすごく大きなポイントで、フリットもヴェイガンへの感情を出さずにキオと接していたっぽいですね。
制作スタッフが「才能を持つが故の苦悩」と言っており、ご指摘の優等生の苦悩はこれから描かれていくように思います。
逆に言うと、優等生と似て非なるフリットの幼い頃が描かれたことが、今後効いてくるのかもしれません。


>もうひとつは、アセム不在+フリットの存在。
これはとても重要なポイントだと思います。
キオ編の最初にアセムがわざわざ「戻ったらずっと一緒にいてやるからな」と言っているので。

いつもご愛顧ありがとうございます。今後ともよろしくお願い申し上げます。


>>旭山のカピパラさま
2chだかどこかのサイトで指摘されてて、そういやそうだよなと思った覚えがあります。

さわK #- | URL
2012/05/30 16:25 | edit

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今週末はリアルがいきなり忙しくなりました。今回はじっくりいきます。AGEの「繰り返し見ることで発見が多い」作品なのが、良くも悪くもちょっとヘビーかも。今回は冒頭から地球連邦...

まとめwoネタ速neo | 2012/05/21 22:05

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