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ガンダムAGE感想 26:地球 それはエデン  

アセム編最終決戦第一ラウンド。
地球への門・ノートラムコロニーにヴェイガンの移動要塞・ダウネスが迫ります。

全軍でノートラムを奪取し拠点化を図ろうとするゼハートに対し、フリットは秘策をもってヴェイガン主力の一挙殲滅を狙います。
そのさなか、フリットを執拗に付け狙うデシルとウルフ小隊が激突し、双方に大きな犠牲が出ます。

今回でウルフが退場します。
ユリン同様に、熱く、大きな意味のある生き様を残して去っていきました。

また、デシルがなぜフリット編で殺されなかったのかも明らかになりました。
"魔中年"デシルには、彼にしか出来ない決定的な役割があったのです。




今回の話は、以下のやり取りに集約されます。


「お前は・・お前は、何なんだぁ!?」
「俺はスーパーパイロット、アセム・アスノだ!!!!」


デシルとアセムのやり取りです。
アセム編はこれで答えが出たように思います。
何の答え?
救世主フリット、戦士ゼハートに対して、アセムは何か?というアイデンティティの問題の答えです。


今回は、「アセムがウルフを継ぐ形で自己を確立し、確立の証としてデシルを超える」話です。

実はアセムは最初から相当強くて、ウジウジ悩んでなければ普通にXラウンダーを蹴散らせています。
「お前はそのままでいいんだ」ということを認めるまでの彼の悩みを延々流されたのがアセム編でもあるのですが・・・

でも、ただ自分を見つけただけではありません。
ウルフ・エニアクルを継ぐ者としてのスーパーパイロットです。この意味は大きい。

これで、アセムには「ウルフを継ぐ最強の戦士として次代を導く」という意味が付与されました。
逆に言えば、グルーデックを継ぐリーダーとして対ヴェイガン戦を導くアスノが、フリットになります。


その意味で、今回の話はユリンがデシルに討たれた(=フリットが日常に戻る機会が失われた)14話と対になっています。

デシルは最強クラスのXラウンダーであると同時に、フリットの因縁のライバルでもあります。
そのデシルを、アセムはパイロットとしての実力だけで打ち破る。
戦闘力を失ったデシルに対し、父のように見逃すのではなく、師のウルフのようにきっちり仕留める。
(前回マジシャンズ8の女性パイロットにウルフがわざわざ止めを刺したのは、この伏線だったと思われます。)
ウルフとユリンの死に方は酷似していて、デシルのやられ方も14話によく似ています。
でも、フリットと異なる選択をアセムがしていて、異なる形で克服をしています。

対比として考えると、ここでウルフを討つのはデシルでなければならず、このイベントはアセムがスーパーパイロットとして踏み出す第一歩になるこのタイミングでなければならず、討たれる相手もアセムでなければならなかった、ということになります。彼がフリット編で死ななかったのは、ここでアセムに討たれるためだったと言えます。

なお、デシルの死に際の台詞も14話と対になっています。
14話「ボクは負けてなぁぁい!!」
26話「オレが負けるはずがない!!!」


選択したのはアセムだけではありません。ウルフが二世代にわたって出てきた意味も、ここで効いてきています。
彼はフリットにではなく、アセムに全てを託して逝ったのですから。
フリットは確かにウルフより強いのですが、彼の才能はウルフと異質のものです。
これに対し、アセムとウルフは同質で優劣が比べられる類の才能、ということでしょう。


もちろん、ウルフとフリットの通じ合い方もよく描かれています。
たとえばフリットはウルフ、ミレース、グルーデックの前でだけプライベートの顔になります。
また、ディーヴァでウルフの異変に真っ先に気づいたのもフリットでした。
ただし、この二人のつながりは師弟ではなく友だったのだと思っています。

世代、といえばオルブライトもちゃんと告白のOKをもらえていました。
AGEの流れからいくと、この二人は結ばれると思っていました。
そろそろ次世代に向けての子作りが必要なタイミングです。


閑話休題。世代といえば重要なポイントがもうひとつ。
ゼハートとフリットの読み合いです。
今回、フリットの計略をゼハートが「感じ取り」検証して見事に回避しています。
そのゼハートの動きを受け、フリットもゼハートの意図するところを理解し、大胆な勝負に出ます。

アセム編の後半はゼハート・デシルのガレット兄弟とフリット・アセムのアスノ親子の対決の話です。
もう少し引いて見ると、この構図は複雑に絡み合っています。

というのが、フリットはグルーデックの遺志を継ぐ者です。グルーデックを目覚めさせたのはイゼルカントの意を受けたギーラ・ゾイ(ヤーク・ドレ)です。ヤーク・ドレとその背後のヴェイガンと戦うために、グルーデックは知恵を研ぎ澄ませてきました。その志を最も受け継いでいるのがフリットです。
片やゼハートはイゼルカントの秘蔵っ子です。後継者といってもいい。
つまり、イゼルカントの直系のエリートと、イゼルカントの最も洗練された敵の直系の対決、という構図になります。
これは裏を返せば、人類の敵を討つことを最も忠実に追及してきた人間たちと、人類の敵であることを最も忠実に追求してきた人間たちの対決です。


そのゼハートはトルディアに来て、奇しくもアスノを継ぐ者と1年半机を並べています。
更に、このゼハートはアスノメンバーと戦場で鎬を削ることで成長しています。
AGEのテーマは「人間の成長と進化」でした。
フリット編ではフリットたち主人公サイドの進化だけがクローズアップされていましたが、アセム編では進化が絡み合い、相乗効果をもたらしています。

今回の話にしても、前回の単純な力攻めの反省からゼハートが「学習」して、フリットの手を読んで犠牲を最小に抑えています。
一方のフリットは、「経験による判断」からゼハートの意図を読んで勝負に出る。これはフリット少年では不可能で、ヒゲットになったからこそ可能なことです。

また、この他に今回クローズアップされたウルフ→アセムのラインがあります。


つまり、ゼハート・フリット・アセムはそれぞれに物語冒頭からの誰かの思いやノウハウを背負っています。
それぞれの流れが相互に絡み合い切磋琢磨しながら複雑な進化をしていくのが、第二世代のアセム編といえます。
歴史ものとしてのAGEの特性がいよいよ生きてきた、といったところ。



大テーマはここで終わりですが・・・
細かいところでも見所が多い回でした。見応えがありすぎてこの記事まとまらなくて困りました。

まずゼハート。彼は良将です。
ダブルバレット登場当たりから、彼は的確な判断をしています。
彼の指示に従っている限り、部下は無駄死にしないですむ。そういう指揮官に必要な判断をちゃんと下しています。
今回もフリットの策を見抜いて迅速に対応しているし、情に縛られずコロニーを人質にするという大胆な策も取れる。
といって、冷酷な人間でもない。むしろ温かみがある人間です。
アセムに対しても未だに情がある。
部下に対しても体を張ってかばっている。今回もマジシャンズ8の二人をデシルから守っています。
(実際にあの二人が駆けつけたとしてもダブルバレットに討たれていたでしょう。もっとも、ゼハートの気持ちはあの二人には届いていなさそうですが)
名将であると同時に、人柄の難しさも描かれています。
これは意図してかどうかはわからないけど、ゼハートが口下手であるために損をしている描写は多いです。
たとえばドールに「力を貸してくれ」とまでは言えないのがゼハート。友達だと思う気持ちは変わらないし嘘もついていないのに、真意がアセムに通じないのがゼハートの悲劇。
デシルに対しても、「兄さんは切り札です。フリットが出てくるまで後でどっしり構えていて下さい。」とでも言えば良かったのですが。。。


フリットとゼハートの力のバランスも良い。
司令官としての能力では老練なフリットが勝っていて、今回も「盤上の勝負」ではフリットがゼハートを追い込んでいる。でも、内通者の存在と「情報収集を欠かさなかったこと」でゼハートが優位に立つ。このサジ加減は絶妙です。

※「せっかく戦線を突破できたのに・・・!」とマジシャンズ8に言わせるような釣り出しをするあたり、連邦軍は本当に優秀です。



優秀と言えば、メデル・ザントとダズ・ローデンもいいキャラです。
妻が・・・のエピソードもさることながら、今回のフォトンブラスター照射直前のメデルとゼハートの意思疎通ぶりは見事でした。
フリットやアセムも仲間に恵まれていますが、ゼハートも決して負けていない。
実生活で身近にいても悪感情を抱かないようなキャラが出てくる話は、それだけで好感が持てます。


デシルについて。
今回で彼は死んでしまいましたが、ゼハートの提案通りに予備兵力でいればフリットと戦えていた可能性は高いです。
フリットとデシルの最後の対決は、フリットの戦艦にデシルがMSで挑み、手を読まれて負ける、という形でした。
でも、MSに乗っているデシルが弱かったわけではない。彼の強さは今回で否応なく示されています。
性格を読むことで彼を退けたフリットは、やはり本当の意味でデシルの理解者だったと言えます。


アセムの台詞について。
今回のアセムの出撃の台詞「ガンダム、いっしょに生き延びような」はAGE-2での初出撃のときと同じ。
これは、「一緒に救世主になるもの」というフリットのAGE-1との関係と対になっています。
これもグッときたのですが・・・

やはり、ウルフの死でしょう。
余計なことを言わずひたすら嗚咽だけのアセムと、真っ先にウルフの死に気づいて黙りこくったフリット。
そして若い娘の顔に戻り、すぐに涙を拭って気丈に仕事に戻ったミレース。
ウルフに縁の深い三者の三様のこの表情だけで十分でした。声優さんも好演していたと思います。


だからこそ、最後の「俺はスーパーパイロット、アセム・アスノだ!」が光ります。
そして、それを問う者はゼハートやイゼルカントよりもデシルが適役です。
いや、デシルがその場に存命している以上、デシルより相応しい人間は存在しません。

なぜか?
デシルは、フリット(とアセム)の背負う因縁の象徴だからです。
デシルの持つ因業じゃないと、「ウルフを継ぐアスノの子」というアセムの宿業の重さに釣り合いません。

物語の冒頭から登場し、フリットのライバルとしてフリットの日常を奪った人間。
フリットへの敗北感で人生を規定され、フリットを追い続ける人間であることは、アセムと同じ。
一方、エックスラウンダーの素養を持つヴェイガンであることは、アセムの対極。
フリットが平和な日常へ戻る可能性を奪った人間に、平和な日常の世界を背負うフリットの息子が挑む。
憎しみに駆られているはずのフリットはデシルの理解者であり、デシルに「償わせる」形での共存の余地をどこかで残している。
でも、やさしくて共存の世界を知っているはずのアセムは、生き延びるためにデシルを殺す。

構図としても、きれいな対照になります。

長くなりました。まとめます。
デシルがフリット編から残された理由は、
アセムに問いかけ、彼のアイデンティティ確立の生贄となる役割があったから。
です。


アセムのアイデンティティのゴールがスーパーパイロットである以上、デシルという鏡像は存在すべき必然があったのです。
言い換えるなら、アセム編でのアセムのライバルはゼハートではなくデシルです。

ネーミングセンスは「??」ですが、スーパーパイロットという単語は今回で特別な重みを持ちました。
今回を踏まえてエンディングの映像を見ると、もうね・・・いろいろグッときます。



うーん、やっぱりAGEはめちゃくちゃ面白いです。

あくまで私見ですが、今回のウルフの死からデシルの死までが14話の展開をなぞるような構図であるのは事実です。
作り手の意図がこうであってもおかしくないな、と私は思っています。




ただ、今回のタイトルはそんなに内容を象徴していないように思います。
確かにゼハートの底流にはエデンへの責任感があるのですが、今回の主役はエデンを見ることなく散っていた者達なので・・・






オマケ
今回ラストのアセムと、14話ラストのフリットを並べてみる。
少年が大人への第一歩を踏み出す、オトコの決意の顔です。今回も14話もそういう役割の話だったと思っています。

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最後に。
ウルフがコクピットから脱出しようとしなかったのは、彼の最愛の白いお姫様と共に逝こうとしたから。
13話を見返すと、そう思えてなりません。







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